特定技能とは?制度や他の在留資格、採用方法までわかりやすく解説!
「特定技能」とは、人手不足とされている12分野で外国人が就労が可能な在留資格が、2019年に設けられた制度のことです。
特定技能は1号と2号があり、対象分野や制度がそれぞれ違います。
制度の仕組みや取得の要件、就労できる職業を分かりやすく解説していきます。
特定技能とはどんな在留資格?
特定技能とは2019年4月から新たに設けられました。
人材確保が難しい特定産業12分野において、即戦力となる外国人の就労を目的とした在留資格です。
特定技能には1号と2号がありますが、介護分野には2号はなく1号のみです。
※特定技能対象分野が12分野から16分野に2024年3月に閣議決定で拡大されました
入管法の改正によって新設された
今までの日本の入管法上では「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門」などの専門的な知識や実務経験、技術などを持っている外国人のみ、
専門的な職業で受け入れる方針を取っていました。
日本国内において人手不足が深刻とされている中で、より幅広い職種において人材を受け入れるにあたり、
入管法の改正で2019年4月から在留資格「特定技能」が創設されました。
特定技能の主な特徴4つは、以下の通りです。
- ・特定産業分野で就労できる
- ・分野ごとに要件が異なる場合がある
- ・単純労働を含む幅広い業務に従事可能
- ・通算5年間働いた後は特定技能1号としての就業は認められない
就労可能な在留資格について
在留資格とは、簡単に言うと「日本に滞在するために必要な資格」のことです。
就労可能な在留資格でもある特定技能の他に、「身分・地位に基づく在留資格」や「就労が認められない在留資格」もあります。
それらを全部合わせると29種類の資格があります。
全29種類の中でも、「就労可能な在留資格」は16種類あり以下の通りです。
- 1.技術・人文知識・国際業務
- 2.特定技能
- 3.技能実習
- 4.介護
- 5.技能
- 6.企業内転勤
- 7.経営・管理
- 8.技能
- 9.興行
- 10.教育
- 11.研究医療
- 12.芸術
- 13.宗教
- 14.報道
- 15.法律・会計事務
- 16.教授
16種類の中でも代表的なものは、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」「技能実習」です。
特に「技術・人文知識・国際業務」と比較し、特定技能は高度技術は必要なく在留資格を取得しやすい傾向にあるため、
近年では特定技能の外国人が増加しています。
特定技能と技能実習の違い
特定技能と技能実習は、受け入れの目的や在留期間、転職の可否など、さまざまな点で異なります。
どちらの制度で受け入れるかいろんな視点で考えてみることで、自社に適した選択が実現できます。
また、技能実習から特定技能への移行を検討する際は、移行における要件や手続きを確認しておくことが重要です。
「特定技能」と「技能実習」の主な違いは以下の7つになります。
- ①制度の目的と背景
- ②受入れできる職種・分野
- ③取得要件
- ④在留期間
- ⑤家族帯同の可否
- ⑥転職の可否
- ⑦受入れ要件
特定技能1号と2号の違い
特定技能には「1号」と「2号」の2つに分類されます。
特定技能1号の特徴と対象分野
特定産業分野で相当程度の知識や経験を持つ外国人が対象です。
特別な育成や訓練を受けることなく、すぐに一定の業務をこなせる水準であることが求められます。
そのため、海外に住む外国人が特定技能1号の在留資格で来日する場合は、日本語能力試験はN4程度以上に加え、
仕事に関する知識・経験に関しての試験に合格することが必要 となります。
特定技能1号の場合は、日本に在留できる期間は通算5年、家族の帯同は認められていません。
受け入れ可能な対象分野は以下の通りです。
- 1.介護
- 2.ビルクリーニング
- 3.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 4.建設
- 5.造船・舶用工業
- 6.自動車整備
- 7.航空
- 8.宿泊
- 9.農業
- 10.漁業
- 11.飲食料品製造業
- 12.外食業
※2024年3月29日の閣議決定により、上記の12分野に加え「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加されました。
特定技能2号の特徴と対象分野
特定技能2号は基本的に、特定産業分野に関して熟練した技能を持つ外国人向けの在留資格です。
特定技能1号の修了者が望んだ場合、次のステップとして用意されています。
特定技能2号は、専門分野で就労するために必要な日本語能力があると判断されるため、特定技能2号の日本語試験は免除されます。
しかし、分野により日本語レベルが設定されている場合もあるので、注意が必要です。
漁業と外食業では「日本語能力試験」N3以上が必須条件となっています。※2024年9月現在
また、日本に在留できる期間は上限なし、家族の帯同が可能となります。
特定技能2号の対象分野にならないのは「介護」と、新しく特定技能に追加された「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」となります。
特定技能で外国人を受け入れるには?
特定技能の外国人を受け入れるには、まず在留資格(ビザ)の確認を行わなければいけません。
「就労可能な在留資格について」の項目でも記載した通り、在留資格には日本で働けない在留資格もあるので、面接前に確認する必要があります。
就労不可の在留資格で就労すれば違法となりますので、雇用の手続きを行う前に確認しましょう。
特定技能で受入れ可能な国籍
日本は17か国と二国間協定(※1)を締結しています。※2024年8月時点
また、日本以外で特定技能試験を実施している国は、二国間協定を締結している国のみとなりますが、
二国間協定を結んでいない国籍の方も、特定技能外国人として採用することはできます。
しかし、国籍別で異なるルールが存在しているのでそれぞれ確認する必要があります。
国籍の制限はありませんが、特定技能ではベトナムの割合が圧倒的に多く、次にインドネシア、ミャンマーと続いて多いです。
- ・フィリピン
- ・カンボジア
- ・ネパール
- ・ミャンマー
- ・モンゴル
- ・スリランカ
- ・インドネシア
- ・ベトナム
- ・バングラデシュ
- ・ウズベキスタン
- ・パキスタン
- ・タイ
- ・インド
- ・マレーシア
- ・ラオス
- ・キルギス
- ・タジキスタン
(※1)二国間協定とは?・・・二国間協定(MOC)とは、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受け入れの確保を目的とした、
日本と外国人の送り出し国との間で締結している各種取り決めのことです。
特定技能外国人を採用できる国籍は?国別で特徴・独自の手続きを徹底解説
在留資格「特定技能」の取得方法
特定技能1号と特定技能2号は、取得方法が異なります。
それぞれ詳しく解説していきます。
特定技能1号の外国人本人の要件
特定技能1号の場合は、特定技能測定試験に合格する方法と、技能実習から移行する方法の2つの方法があります。それぞれ詳しく解説していきます。
1つ目の「試験」に関しては、2つの試験に合格する必要があります。
①日本語能力試験N4以上か、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格
・日本語能力試験(JLPT)・・・5段階で構成された外国人の日本語レベルを測る試験です。
N4は「基本的な日本語を理解できる」というレベルです。
・国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)・・・主に就労が目的の外国人向けのテストです。
「日常会話がある程度でき、生活に支障がないレベルの能力を持っているか」で判定されます。
②各産業分野の技能評価試験
技能評価試験とは、就労を予定している特定産業分野に関係した、それぞれの試験を受けなければいけません。
例えば、介護分野では「介護技能評価試験」、外食では「外食業特定技能測定試験」を受験しなければいけません。
2つ目の「技能実習から移行する方法」とは、良好に技能実習2号を修了してから移行する方法です。
技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務との関連性があると認められる場合には、特定技能1号への移行が可能です。
その場合、日本語試験と技能試験は免除されます。
また、特定技能へ移行後の業務と技能実習の職種が異なる場合であっても、技能実習を良好に3年間終了していれば、日本語試験は免除されます。
特定技能2号の要件
特定技能2号の取得方法は、該当の2号の試験に合格することです。
特定技能2号には日本語の試験はなく、技能試験のみとなります。
特定技能1号より高い技能をもっていることが試験で確認されれば、特定技能1号以外のビザからでも特定技能2号より取得することが可能です。
しかし、分野によっては「日本国内の企業で実務経験2年以上」などの条件追加があり、
特定技能1号として就労していないと受験が難しいケースもあります。
また、特定技能2号に移行できない分野は以下の通りです。※2024年9月時点
- ・介護
- ・自動車運送業
- ・鉄道
- ・林業
- ・木材産業
介護に関しては、「介護福祉士」(在留資格「介護」)を取得していれば、特定技能2号と同じように、
在留期間の上限がなく更新ができ、家族の帯同が可能となります。
特定技能1号の受入れ機関の要件
特定技能制度では、外国人と受け入れる企業・団体の間で直接雇用契約を結ぶのが基本です。
特定技能外国人を受け入れる企業や団体のことを「受け入れ機関」といいます。
特定技能外国人の受け入れ機関として3つの条件を満たさなければいけません。
- ・受け入れ機関の基準を満たしている
- ・雇用契約が適切である
- ・受入れ機関が支援を行う義務がある
- それぞれを解説します。
受け入れ機関の準備を満たしている
特定技能外国人を受け入れるためには、受け入れ機関が適切か判断するため、一定の基準を満たす必要があります。
この基準の一つとなるのが、労働や社会保険などに関する法令の遵守や、同種の業務で働く労働者を、
過去1年以内に非自発的な理由で離職させていないことです。
また、過去に行方不明者を発生させていないことや、過去5年間に出入国労働法令違反がないことも求められます。
雇用契約が適切である
特定技能外国人の受け入れ機関の条件として、雇用契約が適切であることが挙げられます。
定められている在留資格の範囲内で業務に従事させることや、日本人と報酬や待遇を差別してはいけません。
また報酬額についても、日本人が従事する場合の額と同等以上でなければいけません。
教育訓練の実施や、福利厚生施設の利用、その他の待遇などについても差別をしてはいけないので注意が必要です。
特定技能外国人の支援を行う義務がある
特定技能1号の外国人を受け入れるためには、「義務的支援」が定められており、法務省既定の義務的支援10項目を行わなければなりません。
支援を登録支援機関に委託することも可能です。
また特定技能の取得や外国人労働者の受け入れには、各種届出や申請、管理、報告などを行う必要があります。
登録支援機関について
登録支援機関とは、特定技能1号の外国人が在留中に円滑に活動できるように支援をする機関です。
企業が特定技能1号を受け入れる際に「義務的支援」が必要ですが、負担が大きく、
簡単に受け入れることができないと思っている方もいらっしゃいます。
実際に、企業が外国人労働者を適切に支援できていないと判断されると、外国人労働者の受け入れが今後できなくなる可能性もありますので、
支援を登録支援機関に委託すると確実です。
そのため、自社での負担を減らしつつ、より適切なサポートを行えるように、
「登録支援機関」へと外国人労働者の支援を委託することがおすすめです。
Stepjobでは、入職後に必要な支援業務(義務的支援10項目)を受託しているだけではなく、引っ越し支援などの「生活支援サポート」も行っています。
採用の流れ
採用の流れは以下の通りです。
特定技能で外国人を採用する時の注意点
特定技能外国人を受け入れるときは、次のような点に注意が必要です。
労働・社会保険・出入国に関わる法令を遵守する必要がある
受け入れ機関は、「労働、社会保険および租税に関する法令を遵守すること」と定められました。
さらに、受入機関が特定技能外国人と雇用契約を結ぶ際には、日本人と同等額以上の報酬を用意しなければいけません。
費用はそれなりにかかる
特定技能外国人を採用する際に、人材紹介会社や登録支援機関を活用した場合、紹介手数料の支払いが必要となります。
紹介手数料の費用は、特定技能外国人の年収額20〜30%とするのが一般的です。
ただし、紹介会社によって異なりますが、成果報酬型の場合が大半です。
自社で特定技能外国人を求人募集する場合には、紹介手数料などの費用がかかりませんが
日本人の求人募集以上に難しい場合が多く、特定技能外国人の求人ノウハウがない場合は、紹介会社などに頼むことをおすすめします。
まとめ
今回は特定技能の制度や在留資格、採用方法まで説明しました。
特定技能の大きな特徴は、原則認められてこなかった外国人労働者の単純労働を付随的に従事可能にしたことです。
自社で外国人を採用する際には、どの在留資格を取得しているか確認する必要がありますので注意しましょう。
特定技能を取得できる産業分野は限定されておりサポート体制も必須になります。
Stepjobでは、外国人材を受け入れる企業様に安心していただけるよう、
人材紹介をはじめ、ビザ申請サポートや生活支援など、様々なサポートをご用意しております。
外国人採用に関するお悩み・ご要望などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。