特定技能「宿泊」とは?業務内容から受入れ方法まで解説!

特定技能在留資格

人手不足の業界でさまざまなく在留資格の人材の活用が進んでいます。
中でも2019年から導入された「特定技能」はさまざまな人手不足の分野で活用が進んでおり、コロナ禍が収束し、
インバウンド需要が回復した宿泊観光業界にも大いに期待されています。
今回は他の代表的な在留資格と比較をしながら、宿泊観光業界における特定技能人材を中心とした活用方法についてまとめてみました。 

特定技能「宿泊」とは?

在留資格「特定技能」では、生産性の向上や国内人材の確保のための取り組みを行っても、
なお、人材の確保が困難な状況にある産業分野に限り、
一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人労働者の受け入れが可能です。

その対象分野の一つに、宿泊業も含まれます。

特定技能「宿泊」が創設された背景とは

宿泊業界も深刻な人手不足問題が生じており、「特定技能」の対象となりました。
特定技能「宿泊」を取得した外国人は、フロント業務や接客業務など主業務に付随して、ベッドメイキングや配膳、館内販売など単純作業への従事も可能です。

特定技能「宿泊」の現状と今後の展望

2019年から始まった特定技能の在留資格は、人手不足の分野において、運用に制限のある技能実習生制度に置き換わることを期待して、日本独自の制度として導入されました。 

奇しくもコロナ禍で帰国困難となった技能実習生や就職難の留学生からの就職が一気に進んだ一方で、
宿泊観光業と外食業は営業すらままならない状態が2年ほど続いたため、なかなか採用が進みませんでしたが、
2022年4月以降、コロナ禍が収束してからインバウンドの訪日外国人の増加、国内旅行者の増加もあり、徐々に採用が増えつつあります。 

政府がインバウンド6000万人計画を掲げており、目標達成のためにも特定技能人材の活用は不可欠と思われます。 
特定技能1号は2024年9月末時点で268,756人に達しました。 

宿泊分野はコロナ禍の影響で伸び悩んでいましたが、2024年春から国内は全国で平日ほぼ毎日試験が実施されることになり、今後は増えていくことが期待されています。 

宿泊観光業・外食業における人手不足割合について、コロナ禍からの変遷および今後の展望につについては
これからの宿泊観光業界どうなる?動向や現状、外国人材活用についても参照ください。

特定技能「宿泊」の概要と特徴

特定技能「宿泊」の対象業種・雇用形態・任せられる業務・報酬

特定技能「宿泊」では、宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の
宿泊サービスの提供に係る業務について従事することができます。
具体的には以下の業務となります。

  • ・フロント業務
  •  └チェックイン/アウト、周辺の観光地情報の案内、ホテル発着ツアーの手配等
  • ・企画・広報業務
  •  └キャンペーン・特別プランの立案、館内案内チラシの作成、HP、SNS等における情報発信等
  • ・接客業務
  •  └館内案内、宿泊客からの問い合わせ対応等
  • ・レストランサービス業務
  •  └注文への応対やサービス(配膳・片付け)、 料理の下ごしらえ・盛りつけ等の業務等

宿泊観光業における在留資格別の比較 

外国人が日本国内で就労するには何かしらの在留資格(俗にビザと言います)が必要となります。
たとえば、旅行のような短期滞在の在留資格では一定期間の滞在は出来ても、報酬を得て働くことはできません。 

また、分野や職種、作業ごとに在留資格が定められていることが多く、どんな職場や仕事でも自由に働けるというわけではありません。この点では日本国籍を持つものとの違いがあります。 
特定技能について説明する前に、以下の表で宿泊観光業および比較的近い分野である外食業で働ける在留資格を一覧にまとめました。

外国人の在留資格ごとの使い分けについては、ざっと下記のようなイメージで捉えていただくと良いかと思います。

①使いどころが重要な「技人国」 

いわゆる高度人材の職種に与えられる在留資格であり、宿泊観光業においてはフロントや通訳翻訳、企画・営業、事務、広報宣伝などの業務に従事させることができます。 
ベッドメイクやレストランのホールなどは研修目的など以外は原則不可となり、専従させることはできません。  
また、フロント業務でも外国人旅行客がほとんど来ないなど、通訳翻訳を必要とされない場合は想定されていないのでどこでもOKというわけではありません。 

技人国ビザ取得のためには「学歴」や「職歴」などの要件があります。 
現地で高卒までの学歴の場合、日本で専門学校以上の学歴を積むことが必要です。 
専門学校や大学の観光系の学部や学科の卒業生も多いですが、
学歴要件を満たす場合、ホテルや旅館、外食業などでの接客経験がある人材なら適性が高いと思われます。 

また、単純作業などの仕事に従事はできないので採用時は注意が必要です。 
たとえば、フロントとして技人国ビザで採用したが、実際の業務はベッドメイクやクリーニングというのでは入管のビザ申請が不許可になるだけでなく、そのような使い方をしている場合、本人が在留資格の取り消しや更新不可となり、雇用の事業所も処分を受ける可能性があります。 

②特定技能の三つのタイプを使い分け 

宿泊観光業で使える特定技能は本稿で解説する「宿泊」を含め以下の三つのタイプがあります。 

「特定技能(宿泊)」、「特定技能(外食)」、「特定技能(ビルクリーニング)」

施設の規模や運営形態により、技人国+三つの特定技能を使い分けいただくのをお勧めします。

まず、使い勝手の良い「特定技能(宿泊)」 

2019年から新設された在留資格で、技人国と同じフロントなどの接客、通訳翻訳、企画・広報などの業務のほか、
技人国ではできない清掃やベッドメイクやレストランのホールなどにも専従させることができます。
ただし、清掃やベッドメイクのみや調理は不可です。 

技能実習生と異なり、採用人数の制限も無いので、非常に使い勝手が良いと言えます。 

次に、「特定技能(外食)」 

特定技能(宿泊)ではできない「調理」に専従させることができます。 

日本の厨房において、外国人の在留資格は厳しく制限されており、
調理の仕事ができる「技能」ビザ取得のためには海外で10年以上の実務経験の証明が必要となります。
近年日本でも増えてきた台湾人の中華料理店、ネパール人やスリランカ人のカレー店はそのパターンです。 

一方で、日本の調理師や製菓の専門学校を卒業しても、一部の特例(日本食の板前の修業目的で最長5年間など)以外は調理の仕事はできません。 
こうした問題を解決できるのが、特定技能(外食)です。 

留学生が飲食業のアルバイトで調理(補助)を任されているケースも多く、留学生からの移行がしやすい分野、職種でもあります。 この分野は外国人の受入人数制限もないため、理論上は店長から調理場、ホールまですべて外国人で構成することは可能です。 

最後は、「特定技能(ビルクリーニング)」 

特定技能(宿泊)では、清掃やベッドメイクなどの専従は不可と書きましたが、解決策がこのビルクリーニングの特定技能です。
ビルクリーニングの主たる業務はあくまで「清掃」であり、ベッドメイクは「整備」であり「付随的業務」とされているので専従は不可ですが、
清掃と合わせてであれば可能です。

接客対応が不要なので、日本語力がまだ低めな海外からの人材を大量採用しやすいため、
規模の大きい施設で専従で雇用するケースが今後増えていくと思われます。 

制限の多い技人国と異なり、このような使い分けにより特定技能はほぼオールマイティと言えます。 

ただし、特定技能「宿泊」でも、「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」第2条6項4号に規定する施設(ラブホテル等)において、就労させないこと及び同法第2条3項に規定する「接待」を行わせないことが求められているので注意が必要です。

③「技能実習生」  

宿泊観光業においては2019年の導入から日が浅いことと、人数制限もあるため、他の産業に比べて人数的には多くはありません。  
2027年までに「育成就労」と名前を変えて、事実上は特定技能と一本化へ進められています。 
今後は特定技能で事足りると考えています。  

④「特定活動」  

ワーキングホリデービザ(最長1年間)で来日する30歳以下の若者たちが主体です。  
台湾や韓国からは人数も多く、サマーリゾートやウインターリゾートで活躍しています。  
ワーホリは異国での体験を重視するため、そのまま就職するケースは少ないと言われますが、
当社ではワーホリから技人国や特定技能への移行(就職)を希望する候補者も扱っています。  

  

⑤「資格外活動」  

ほぼ留学生のアルバイトです。 

宿泊観光よりも外食業での活用が多くなりますが、立地条件によっては日本語学校や専門学校、大学の留学生もアルバイトとして活用可能です。 
宿泊観光、外食ともに留学生に人気の業界、職種のため、そのまま技人国や特定技能で就職するケースも少なくありません。
したがって、留学生のアルバイトから仕込んでいくやり方もおススメです。
当社も留学生のご紹介もできます。  

⑥「身分系の在留資格」  

日本人の配偶者、永住者・定住者など、特別な在留資格で職種にほぼ制限なく働けますが、
フルタイムではなく子育てしながらのパートタイム勤務や配偶者の転職や転勤に伴い退職するケースもあり、

安定的に雇用がしづらい面もあります。  

これらの在留資格ごとに、働ける職場や職種、作業、採用条件などの制限がありますのでご注意ください 。

特定技能「宿泊」外国人の受入れ条件は? 

特定技能「宿泊」の外国人を受け入れの所属機関の条件 

・所属機関(企業)の要件 ~各分野共通~

  1. 1.外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
    (例:報酬額が日本人と同等以上)
  1. 2.特定技能所属機関として適切であること
    (例:5年以内に労働関連法・出入国管理法等関係法令の法令違反がない)
  1. 3.外国人を支援する体制が整っていること
    (例:外国人が理解できる言語で支援できる)
  1. 4.支援計画が適切であること
    (例:生活オリエンテーション等を含む)
  2.  

・所属機関(企業)の要件 ~特に「宿泊業」分野で課されるもの~

特定技能「宿泊業」分野の特定技能外国人が所属する機関には、以下の条件が課されます。

  1. 1.宿泊分野においては、特定技能外国人が従事する業務内容を踏まえ、
  2.   旅館・ホテル営業の形態とするとともに、以下の条件を満たすものとする。
  3. 2.旅館業法(昭和 23 年法律第 138 号)第2条第2項に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けた者であること。
  4. 3.風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122号。以下「風俗営業法」という。)
  5.   第2条第6項第4号に規定する「施設」に該当しないこと。
  6. 4.特定技能外国人に対して風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと。
  7.  

「旅館業の許可」が必要です。無い場合は新規で取得をしてください。 
新規で宿泊施設を開業のケースなど、開業までに採用を行いたい場合、入管と相談しながら進めて行きます。

また、旅館業等で「風営法」の免許を取得している場合、「特定技能(宿泊)」での採用が難しくなります。
「特定技能(宿泊)」で採用不可の場合、「特定技能(外食)」でレストランや厨房または、
「特定技能(ビルクリーニング)」での採用に限られますのでご注意ください。 

・協議会の加入について

次に、業界ごとに定められた「特定技能協議会」への加入も必要です。 
受入前の加入が必須のため、協議会への加入も含めた採用スケジュールを組む必要があります。 
さらに、特定技能人材受け入れのための「支援体制」も整える必要があります。 
当社のような「登録支援機関」に「支援委託」を依頼するのが一般的です。

特定技能「宿泊」外国人が満たすべき要件

特定技能1号宿泊業 外国人本人の要件 ~各分野共通~

  1. ・18歳以上であること
  2. ・健康状態が良好であること
  3. ・技能試験および日本語試験(N4相当)に合格していること

(技能実習2号を良好に修了した外国人は免除)

特定技能「宿泊」1号を取得するルート

・宿泊分野特定技能評価試験に合格(国内は平日ほぼ毎日全国で実施) 

宿泊業特定技能1号技能測定試験は宿泊業で必要とされる技能や知識である
「フロント業務」「広報・企画業務」「接客業務」「レストランサービス業務」「安全衛生その他基礎知識」の5つのカテゴリーより出題されます。

・日本語力はJLPT N4以上またはJFT-Basic A2(N4レベル相当)の合格 

・技能実習2号を良好に修了し、特定技能1号へ移行するルート

宿泊分野の技能実習生2号を良好に修了している場合、技能・日本語試験ともに免除 
観光庁のWebサイトにも詳しく情報が載っていますのでご参考にしてください。 

宿泊分野における外国人材受入れ(在留資格「特定技能」)| 観光庁

特定技能「宿泊」の外国人人材を雇用するまでの流れ

採用の流れは以下の通りです。

  1. 1.受け入れ要件の確認
  2. 2.人材募集・面談
  3. 3.雇用契約を結ぶ
  4. 4.支援計画を策定する
  5. 5.在留資格申請を行う
  6. 6.就業開始

特定技能「宿泊」活用におけるポイントと注意点 

従事できない業務に注意 

先にも書いた通り、在留資格ごとに従事できる職種や作業が異なります。 

  • ・技人国は使いどころがポイント 
  • ・特定技能は使い分けがポイント 
  • ・風営法には注意 

など、注意すべきポイントを押さえながら採用計画を立てましょう。 

技能実習2号から特定技能「宿泊」への移行と特定技能2号へのステップアップ 

同分野の技能実習生2号からの移行は試験が免除されることもあり、比較的容易です。 
さらに、特定技能1号の5年間のうちに特定技能2号への移行要件をクリアできれば、家族帯同もできるため、
家族と一緒に日本で暮らせますし、10年経過で永住権申請への道も拓けます。 

2019年から特定技能が導入されて今年で6年目で特定技能1号の終了者がまだ多くなく、
特定技能2号への移行者がまだ全体的に少ないですが、来年度以降、2号の要件をクリアして移行する人材が増えていくと思われます。 

2号へのステップアップを見据えて早い段階から日本語力や実務能力を高めさせ、
将来的なキャリアパスも示しながら育成することで、モチベーションアップや離職防止にもつながると思われます。 

まとめ 

外国人人材の中でも留学生(留学経験者)は宿泊観光の専門学校を卒業していたり、
在学中に飲食業などで接客経験を積んでいるケースも多いことから人材として有望ですが、
先に書いたように技人国は宿泊観光業では制限がありますますし、一つの施設で多数の採用は困難です。 

いろいろな仕事を任せられ、特定技能2号への移行で永住権申請への道も拓ける特定技能は彼らにとっても魅力的な在留資格になりつつあります。 
また、海外在住の人材の中にも宿泊、外食分野は現地で経験者も多く、比較的短期間で即戦力化しやすいと言えるでしょう。 

少子高齢化による人材不足の一方で、インバウンド6000万人計画を目指す日本にとって、
若く意欲的な外国人人材は無くてはならない存在となるのは間違いないでしょう。

特定技能「宿泊」採用にあたっては、本稿に記載したとおり分野や国ごとに独自の要件があり、手続きが複雑な場合もあります。
特に外国人を初めて採用する場合は、外国人に特化した人材会社を利用することをおすすめします。

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