特定技能「外食業」では何ができる?取得要件・方法についても解説

特定技能

特定技能「外食業」とは?

外国人が日本で働くには、在留資格の中でも就労が認められている通称「就労ビザ」が必要です。在留資格「特定技能」は就労ビザの一つとして、2019年4月に新設されました。特定技能の新設により、各省庁が選んだ「人手不足と認められる業界」に外国人の受け入れが解禁されています。外食業分野も特定技能で認められる業界の一つで、在留資格「特定技能 外食業」を持つことで、調理や接客はもちろんのこと、店舗管理や原材料の仕入れ、配達などの仕事全般の業務が可能です。ただし、風営法に規定されているような接待は禁止事項となっております。2023年6月、特定技能2号の対象分野の拡大により、「外食業」は特定技能の1号と2号ともにあります。業務範囲や取得要件などは、後ほど詳しく解説いたします。

外食業界の人手不足の状況

日本の外食産業は人手不足が大きな課題となっています。厚生労働省のデータをみると、平成30年の外食産業における有効求人倍率は「4.40」で、全産業の平均有効求人倍率である「1.62」と比べて大幅に高い数字です。

出典:農林水産省「外⾷業分野における 新たな外国⼈材の受入れについて」

この人手不足を解消するため、2019年に創設された特定技能「外食業」。創設当初は在留者数が少なかったのですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で発令されていた緊急事態宣言が解除され、飲食店の通常営業が再開されたことで、急速にその数字を伸ばしています。出入国在留管理庁の統計によれば、特定技能「外食業」の外国人は2023年6月時点で累計8,842人、1年前の2022年6月末時点から2.5倍以上の急激な増加をみせています。では、特定技能「外食業」ではどんな業務ができるのでしょうか。

特定技能「外食業」で可能な業種、業務

特定技能「外食業」の外国人は、外食業に関わる業務を様々行うことが可能です。

【任せられる業務】
外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)

例えば、調理やホールでの接客業務はもちろん、店舗管理や原材料の仕入れ、配達などの業務全般が可能です。給食施設(病院など)で働くこともできます。特定技能「外食業」は、外食業の範囲内であれば、業務制限がほとんどありません。日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することができ、アルバイト雇用とは違い継続的な育成・スキルの蓄積などを行っていくことができます。

また、特定技能「外食業」の受け入れは「飲食店」「持ち帰り飲食サービス業」「配達飲食サービス業」「給食事業等の給食サービス業」に該当する事業所であれば可能です。大手チェーンでも個人経営でも問題はなく、想定される業態は以下の通りです。

【該当する業態例】
食堂、レストラン、料理店、喫茶店、ファーストフード店、テイクアウト専門店(店内で調理した飲食料品を渡すもの)、宅配専門店(店内で調理した飲食料品を配達するもの)、仕出し料理店

特定技能「外食業」は幅広い仕事をこなせる

前述の通り、外食業全般の業務であれば、特定技能「外食業」の外国人は従事できます。外食業に付随するものとして、フードデリバリーがありますが、デリバリー業務が業務内容のうちの一つであれば、行うことは可能です(調理、接客などがないデリバリー業務のみは不可)。また、ホテル内のレストランなど、宿泊施設での調理・配膳の業務のみであれば、こちらも就労することができます(料理の盛り付け、洗い物や皿のセッティングも可)。このように、特定技能「外食業」は比較的取得要件が低く、日本人と同様な外食に関わるさまざまな業務に対応できるため、期待値の高い在留資格といえるでしょう。

受け入れ企業になるための要件

特定技能「外食」の制度を活用し、外国人を雇用する企業にも要件があり、それを満たす必要があります。要件は以下の通りです。

要件1:外国人を受け入れるための基準

①外国人と結ぶ雇用契約を適切(例:報酬額が日本人と同等以上)にする。
②受け入れ機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)である。
③外国人を支援する体制(例:外国人が理解できる言語での支援をする)ができている。
④外国人を支援する計画を適切に作り(例:生活オリエンテーション等)、実行する。

要件2:受入れ企業(機関)の義務

①外国人と結んだ雇用契約(例:報酬の支払い)を誠実かつ確実に履行する。
②外国人への支援を適切に実施する。
③出入国在留管理庁への各種届出をする。

要件3:食品産業特定技能協議会の加入

食品産業特定技能協議会は農林水産省が運営しており、構成員にならなければ外国人の雇用はできません。協議会は、外国人の受け入れ状況を把握するだけでなく、構成員の連携、制度や情報の周知、法令遵守の啓発などにも役立っています。協議会への加入期限は外国人を受け入れてから4か月以内となっています。

出典:農林水産省「外⾷業分野における 新たな外国⼈材の受入れについて」

特定技能「外食業」を取得する方法・雇用までの流れ

特定技能「外食業」の在留資格を取得する方法と、雇用するまでの流れについてご紹介します。
特定技能の在留資格を取得するには、以下の2つのルートがあります。

ルート1:特定技能試験に合格する
「技能水準試験」と「日本語能力試験」に合格する。
ルート2:技能実習2号を良好に修了し、特定技能1号へ移行する
技能実習2号を良好に修了、または技能実習3号の実習計画を満了することで移行が可能です。
海外でも試験が実施されているところがありますが採用ルールが国ごとに違うため、注意が必要です。短期滞在ビザで来日して、日本で受験をすることもできます。
ルート1について、もう少し具体的に確認しておきましょう。

「技能水準試験」と「日本語能力試験」に合格する

特定技能「外食業」を申請するためには、外国人本人が以下の2つの試験に合格する必要があります。合格しないと在留資格申請は承認されません。

①外食業特定技能1号技能測定試験

試験の内容は「学科」と『実技』に分かれています。

試験 内容
学科 【衛生管理】:食中毒や冷蔵庫の温度、交差汚染などの衛生管理のほか、HACCPに対応した衛生管理
【飲食物の調理】:食材の管理、下処理、各種調理法による基礎知識
【接客全般】:接客サービス、食物アレルギーに対する知識、店舗の管理、顧客のクレーム対応など
実技 【判断する試験】:図やイラストを使った正しい行動かの判断
【計画立案をする試験】:決められた計算式を使った作業の計画

試験は1年通して3回、1月、6月、10月頃に実施されます。受験には事前の申請が必要となります。試験は日本国内と海外(フィリピン、インドネシア、ネパール、ミャンマー、カンボジア、タイ、スリランカ)で実施されています。
※海外情勢により、実際されない場合もあります。
申し込みや日程の詳細は「OTAFF 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構」のサイトでご確認ください。

②日本語能力試験

日本語能力試験は「日本語能力試験(N4以上)」または「国際交流基金日本語基礎テスト(200点以上)」のどちらかの受験が必要です。認定の目安は以下の通りです。

【日本語能力試験の認定目安】
N1:幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
N2:日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N4:基本的な日本語を理解することができる
N5:基本的な日本語をある程度理解することができる
※N3、N4の合格率は国内外合計で45%程度となっています。

特定技能外国人(海外在住)を雇用するまで

外国人本人が前述の試験に合格していることが必要です。

①『特定技能雇用契約』を締結

企業が面接などを通じ、採用する外国人を決めて「特定技能雇用契約」を結びます。

②『特定技能外国人支援計画』の作成

「特定技能外国人支援計画」は、企業が外国人に対して実施するサポートを計画したものを指すものです。外国人が業務をスムーズに行え、さらに日常生活も問題なく過ごせることを目的としており、作成された支援計画書は外国人本人が十分に理解できるもの(外国人が「十分に理解した」という著名が必要)とし、その写しを交付します。したがって、内容は外国人本人が理解できる言語で説明する必要があります。

③事前ガイダンスの実施

企業が外国人に対し、事前ガイダンス(オンライン可)を実施し、健康診断も受診させます。特定技能外国人支援計画にある支援の一つです。

④在留資格の申請

企業が在留資格認定証明書交付申請書を特定技能「外食業」として申請し、管轄の出入国在留管理庁に提出します。この時、健康診断の診断書も必要になります。

⑤「在留資格認定証明書」の郵送

審査が通ると、「在留資格認定証明書」が交付されます。交付された書類を海外にいる外国人本人に郵送します。

⑥外国人が現地で査証(ビザ)申請

外国人が「在留資格認定証明書」を現地日本大使館などに提出し、「査証(ビザ)」を申請、受け取ります。

⑦外国人来日、就労スタート

外国人が査証と在留資格認定証明書を持って来日、その後、就労する形になります。在留資格認定証明書の有効期限は発行から3か月以内です。

最後に

日本の外食産業は慢性的な人手不足の状況で外国人材の需要が非常に高いことが特徴です。コロナウイルスの影響により、一時的に求人数は減ったものの、「新しい生活様式」の定着に伴って、デリバリーの需要が増えていっています。そのため、デリバリーを含むさまざまな業務に従事できる特定技能「外食業」は、今後も重宝される資格と言えるでしょう。さらに、飲食店のスタッフとして外国人を雇用し、調理やホール業務、デリバリーなどの幅広い業務を任せたい場合でも、特定技能「外食業」を検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、特定技能「外食業」の外国人を飲食店で雇用したい場合、違法にならないために、雇用形態(直接雇用)や業務内容・給与の水準に注意しましょう。

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