特定技能外国人を採用するには?募集から採用後までの流れ

特定技能

特定技能外国人の受け入れ要件

採用方法や在留資格の申請を検討するうえで、受け入れ要件を満たしているかどうかの確認が必要です。
まず、特定技能制度は、人材不足が深刻な14の分野で一定の専門性や技能を持った外国人労働者の受け入れを行う制度です。受け入れ企業は以下の14分野のいずれかに該当する必要があります。

1.介護業  2.ビルクリーニング業 3.素形材産業 4.産業機械製造業 5.電気・電子情報関連産業 6.建設業
7.造船・舶用業 8.自動車整備業 9.航空業 10.宿泊業 11.農業 12.漁業 13.飲食料品製造業 14.外食業

さらに、特定技能外国人を雇用する企業は以下の基準を満たさなければならないことが法律で定められています。

受け入れ機関自体が満たさなければならない基準

① 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること。
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと。
③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと。
④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと。
⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと。
⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと。
⑦ 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと。
⑧ 支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと。
⑨ 労働者派遣の場合は,派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められる者であるほか,派遣先が①~④の基準に適合すること。
➉ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること。
⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること。
⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと。
⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)。

また、特定技能外国人への支援体制が整っていることも受け入れ基準となっています。こちらも事前把握が必要です。

特定技能外国人受入れまでのステップ

それでは特定技能外国人の採用から就労開始までのステップを見ていきましょう。

Step1 人材募集・面接

通常、登録支援機関をはじめとした人材紹介サービスを利用し、人材募集しています。履歴書による候補者情報をもとに面接を経て、採用を決定します。

【採用ルート】
① 特定技能試験・日本語能力試験に合格した人材を採用するルート。
② 同業種の技能実習2号を良好に修了した技能実習生を採用するルート。

Step2 雇用契約の締結

契約書が法律に適合した内容であることに注意し、雇用契約を締結。契約締結後、早期に健康診断や事前ガイダンスを実施します。

【雇用契約締結時に注意するべきポイント】
① 業務内容が分野ごとに定められた「特定技能外国人が従事する業務」に該当しているか。
② 所定労働時間が、通常の労働者の所定労働時間と同様か。
③ 報酬額が日本人労働者と同等以上か。
④ 外国人を理由に、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などの待遇で差別的な扱いはないか。
⑤ 一時帰国を希望の際は休暇を取得させる。
⑥ 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められているか(派遣雇用は農業と漁業のみ可能)。
⑦ 外国人が帰国の旅費を負担できないときは、受け入れ機関が負担。契約終了後の出国の円滑サポート。
⑧ 外国人の健康状態や生活状況を把握する。
⑨ 分野に特有の基準に適合しているか。

Step3 支援計画を策定

法律で定められた支援業務ができる体制を構築・策定する。支援を自社で行うのが難しい場合、登録支援機関に全て委託することも可能です。

特定技能外国人を受け入れる際、外国人が安定して働くことができるように、業務上は勿論のこと、日常生活面での支援を行う必要があります。次のステップで実施する在留資格申請の際、どのような支援を行うのかを支援計画書として具体的に提示する必要があるため、雇用契約締結後に支援計画を策定することになります。

【法律で定められている支援業務】

① 事前ガイダンス労働条件、日本での活動内容、入国手続き、保証金徴収の有無などについて、対面もしくはテレビ電話等で実施。
② 出入国する際の送迎空港、受け入れ企業間の送迎。帰国時、空港の保安検査場まで同行。
③ 住居確保・生活に必要な契約支援住居探しの補助(賃貸契約の連帯保証人など)や社宅の提供。銀行口座、携帯電話の開設、ライフライン契約などの案内・手続き補助。
④ 生活オリエンテーション日本で円滑に社会生活が営めるようルールやマナー、公共機関の利用や連絡先、災害時の対応などを対面もしくはテレビ電話等で実施。
⑤ 公的手続き等への同行転出入や社会保障・税の手続きに同行、書類作成の補助。
⑥ 日本語学習の機会の提供日本語教室の紹介や手続きの補助、日本語学習教材の情報提供。
⑦ 相談・苦情への対応外国人から相談や苦情があった場合、十分に理解できる言語で対応。
⑧ 日本人との交流促進地域住民等が主催する交流会の案内や入会の補助など。
⑨ 転職支援(人員整理などの場合)特定技能外国人の責めに帰すべき事由に依らないで、解雇する場合、転職先の情報提供や推薦状の作成。求職活動を行うための有給休暇の付与、必要な行政手続きの情報提供。
➉ 定期的な面談・行政機関への通報支援責任者と本人およびその上司と3ヶ月に1回以上面談を実施。労働基準法違反があれば通報。

Step4 在留資格の申請

必要書類を準備し、最寄りの地方出入国在留管理局に申請します。新規入国の場合、交付された証明書を外国人に送付し、在外公館でビザ申請してもらいます。
在留資格申請に用意する必要がある書類は3つのカテゴリーに分けられます。

① 【外国人本人に関する書類】

日本にいる外国人を採用する場合海外から来日する外国人を採用する場合
1在留資格変更許可申請書在留資格認定証明書交付申請書
2証明写真(縦4cm×横3cm)
3特定技能外国人の報酬に関する説明書
(注)賃金規定に基づき報酬を決定した場合には賃金規定を添付
4特定技能雇用契約書の写し
5(1) 雇用条件書の写し
(注) 1年単位の変形労働時間制を採用している場合、次のものを添付
・外国人が十分に理解できる言語が併記された年間カレンダーの写し
・1年単位の変形労働時間制に関する協定書の写しを添付
(2)賃金の支払
6雇用の経緯に係る説明書
(注)雇用契約の成立をあっせんする者がある場合には、職業紹介事業者に関する「人材サービス総合サイト」(厚生労働省職業安定局ホームページ)の画面を印刷したものを添付
7徴収費用の説明書
8健康診断個人票
9受診者の申告書
101号特定技能外国人支援計画書
11登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(支援を委託する場合に限り、提出が必要)
12二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類(特定の国籍のみ提出が必要)
13(1) 申請者の個人住民税の課税証明書
注:直近1年分が必要
返信用封筒
(2) 申請者の住民税の納税証明書
注:全ての納期が経過している直近1年度のもの。課税証明書と同一年度でない場合もあり発行手続きの際には注意が必要です。
(3) 申請者の給与所得の源泉徴収票の写し
注:(1)で証明されている内容に対応する年度のもの
14申請者の国民健康保険被保険者証の写し
申請者の国民健康保険料(税)納付証明書
15申請者の国民年金保険料領収証書の写し、もしくは申請者の被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票を含む。)
16公的義務履行に関する誓約書
注:13~15のいずれかに滞納がある場合のみ

② 【受け入れ機関(雇用主)に関する書類】

法人のケース個人事業主のケース
1特定技能所属機関概要書
2登記事項証明書
3業務執行に関与する役員の住民票の写し
※マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるものに限る。
個人事業主の住民票の写し
※マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるものに限る。
4特定技能所属機関の役員に関する誓約書
※特定技能外国人の受入れに関する業務執行に関与しない役員がいる場合のみ。
5A),B),C)のケースに応じた書類
A) 初めての受入れの場合
労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
B) 受入れ中の場合 ※労働保険事務組合に事務委託していない場合
労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
※直近2年分が必要です。
C) 受入れ中の場合 ※労働保険事務組合に事務委託している場合
労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し及び通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
※直近2年分が必要です。
6社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
7税務署発行の納税証明書(その3)
※税目は「①源泉所得税及び復興特別所得税」「②法人税」「③消費税及び地方消費税」
注)①は「申告所得税」ではなく「源泉所得税」
個人事業主の税務署発行の納税証明書(その3)
(注)税目は「①源泉所得税及び復興特別所得税」「②申告所得税及び復興特別所得税」
「③消費税及び地方消費税」「④相続税」「⑤贈与税」
8A),B)のケースに応じた書類
A) 初めての受入れの場合
法人住民税の市町村発行の納税証明書
※直近1年度分が必要です。
A) 初めての受入れの場合
個人事業主の個人住民税の市町村発行の納税証明書
※直近1年度分が必要です。
B) 受入れ中の場合
法人住民税の市町村発行の納税証明書度
※直近2年度分が必要です。
B) 受け入れ中の場合
個人事業主の個人住民税の市町村発行の納税証明書
※直近2年分が必要です。
9公的義務履行に関する説明書
10A) 健康保険・厚生年金保険の適用事業所の場合
社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
B) 健康保険・厚生年金保険の適用事業所でない場合
個人事業主の国民健康保険被保険者証の写し、個人事業主の国民健康保険料(税)納付証明書(初めて受け入れる場合は直近1年分、受け入れ中の場合は直近2年分が必要)、個人事業主の国民年金保険料領収証書の写し又は被保険者記録照会(納付Ⅱ)

③【分野に関する書類】

以下に必要書類のリンクを貼っております。ご参照ください。
▶海外から来日する外国人を採用する場合はこちら>
▶日本にいる外国人を採用する場合はこちら>

書類を地方出入国在留管理局に提出

上記の書類がすべてそろったら、最寄りの地方出入国在留管理局に提出をします。
日本国外の外国人を雇う場合、申請が許可されると証明書が交付されるので、当該書類を現地国の外国人へ郵送し、パスポート等と併せ在外日本国大使館へビザ申請を実施します。
ビザが無事に交付(概ね平均2-3週間程度)されたら、初めて日本へ入国することが可能となります。

日本国内にいる外国人を雇う場合は、申請が許可されると送付される通知書を外国人が入管に持っていくことで、在留資格の変更が完了となります。

Step5 就業開始

在留資格を取得できれば、外国人はいよいよ就労を開始することができます。この際、外国人の引っ越しや住居の手配が必要な場合は、別途支援が必要です。

採用後の手続きについて

特定技能外国人を採用した後は各種書類の提出が必要となります。

① 外国人雇用状況届出
新たに外国人労働者を雇い入れた際、雇用主に対して義務付けられている届出です。指定された様式に必要事項を記載し、管轄のハローワークに提出してください(オンラインで届出可)。

② 四半期ごとに報告が義務付けられている書類
特定技能外国人は、受入れ後四半期ごとに定期面談を実施し、報告書に取りまとめ届出書として、管轄の地方出入国在留管理庁へ提出することが必要です。
ⅰ 受入れ状況に関わる届出書:就労場所、業務内容の変更に関する報告
ⅱ 活動状況に関わる届出書:社会保険の加入状況、報酬の支払い状況などに関する報告
ⅲ 支援実施状況に関わる届出書:支援計画が適切に実施されているかの報告
注)ⅲは登録支援機関に支援を委託している場合、提出不要

③ 変更事由発生時に報告が義務付けられている書類
在留資格の申請時に届出た情報から変更が発生した場合、その都度管轄の地方出入国在留管理局へ随時届出の実施が必要です。
ⅰ特定技能雇用契約に関する届出書
ⅱ支援計画変更に関する届出書
ⅲ支援委託契約に関する届出書
ⅳ受け入れ困難に関する届出書
ⅴ出入国又は労働に関する法令に関し不正又は不当な行為にかかる届出書

まとめ

特定技能外国人の採用をテーマにお話してきましたが、いかがでしたか。
外国人の国内流入はこれからさらに加速すると言われており、特定技能制度は人材不足への解消の対策として、期待されています。また、特定技能外国人の採用には、雇用後の支援まで見越して行う必要があります。制度に係る法律や外国人人材が定着するための支援方法など、様々な知見が不可欠です。その際、選択肢の一つとして、登録支援機関を活用することを考えるのも良いでしょう。

採用に関するご相談・情報などが必要でしたら、ぜひ一度登録支援機関である当社にお問い合わせください。当社がご紹介する外国人人材は面接をしたうえで行いますので、求職者の情報も正確にお伝えできます。

 

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