【職種一覧】特定技能12分野とは?新たに追加される4分野もわかりやすく解説
日本では深刻な人手不足が進行しており、その解決策として注目されているのが在留資格「特定技能」です。
今回は、「特定技能制度の12分野」と「追加された4分野」について、外国人が従事できる職種や業務内容の特徴などを詳しく解説していきます。
特定技能の12分野(旧14分野)まとめ
介護
特定技能介護は、特定技能制度に基づき、深刻な人手不足が問題となっている日本の介護業界で働くことを目的とした在留資格です。
介護施設や関連サービス事業者で、即戦力となる外国人労働者の受け入れを推進するために設けられました。
日本の高齢化社会に対応するために不可欠な制度となっています。
直近の受け入れ人数
特定技能介護分野での外国人労働者の受け入れ人数は増加傾向にあります。
特定技能介護の在留外国人数は、39,011人です。(※2024年8月末現在)
2024年から5年間の受け入れ上限は、135,000人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
特定技能介護分野の所管省庁は、厚生労働省です。
技能試験
特定技能介護として働くためには、「介護分野の技術試験への合格」と、「日本語能力試験(N4以上)」または
「国際交流基金日本語基礎テスト(A2以上)」に合格することに加え、「介護日本語評価試験」に合格することが必要となります。
可能な業務・不可能な業務
可能な業務としては、介護施設での身体介護や生活支援、日常生活のサポートが含まれます。
具体的には、食事や入浴、排泄の介助、リハビリの補助などが可能です。
不可能な業務としては、今までは訪問介護サービスがありましたが、厚生労働省より2024年6月19日の有識者検討会で、
訪問介護サービスへの特定技能外国人導入を解禁の方針を決めました。
導入時期や詳しい内容を知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
特定技能の訪問介護はいつから?解禁後のメリット・デメリットを解説
雇用形態
特定技能介護を採用する場合は、派遣や委託契約などの形態での就労は認められていません。
直接雇用のみが許可されています。
したがって、介護施設や事業者が直接雇用契約を締結する必要があります。
特定技能「介護」外国人材の受け入れを解説:要件・メリット・注意点・手続きも
ビルクリーニング
特定技能ビルクリーニングは、特定技能制度の対象分野のひとつで、日本の清掃業界における人手不足に対応するために設けられた制度です。
商業施設、オフィスビル、学校などの清掃業務の他に、一定の範囲であればホテルの客室ベッドメイク作業にも従事できます。
ビルクリーニングは、業務効率化と高い品質が求められるため、一定の技能が必要とされています。
直近の受け入れ人数
特定技能ビルクリーニングの在留外国人数は、5,062人です。(※2024年8月末現在)
清掃業務は他の分野に比べて多くの人材が求められているため、受け入れ人数は年々増加している状況です。
5年間の受け入れ上限は、37,000人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
特定技能ビルクリーニング分野の所管省庁は、厚生労働省です。
技能試験
特定技能ビルクリーニングで働くためには、「技能水準」と「日本語能力水準」の両方に合格しなければいけません。
「技能水準」は、全国ビルメンテナンス協会が実施する「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」において判定されます。
「日本語能力水準」は、「国際交流基金日本語基礎テスト」または、「日本語能力試験N4レベル以上」に合格する必要があります。
ビルクリーニング評価試験では、清掃に必要な機材の使用法や衛生基準の知識など、業務に必要な技術や知識が問われます。
可能な業務・不可能な業務
可能な業務は、商業施設やオフィスビル内での清掃業務です。
床の掃除、窓や壁のクリーニング、トイレ清掃、ゴミ収集などが主な業務内容となります。
また、ホテルのベッドメイキング作業も業務として認められております。
ホテルでのフロント業務やレストラン接客などは、特定技能宿泊の分野になりますが、ベッドメイキング業務を主にする場合は可能となります。
不可能な業務としては、訪問清掃サービス(個人宅などへの訪問清掃)は認められていません。
ただし、集合住宅のエントランスや廊下など共有部分の清掃であれば行うことが可能です。
特定技能ビルクリーニングは、あくまで商業施設やビル内での業務、ベッドメイキングを主とする業務に限定されています。
雇用形態
特定技能ビルクリーニングを採用する場合も、派遣や委託契約などの形態での就労は認められていません。
直接雇用のみが許可されています。
したがって、派遣や業務委託契約では雇用することができず、雇用主である清掃事業者が直接雇用契約を結ぶ必要があります。
工業製品製造業分野
もともとは「素形材産業」という分野でしたが、2022年5月「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連機器製造業」は、
特定技能制度の分野統合により一つの分野としてまとめられ、更に2024年3月分野名を「工業製品製造業分野」と変更したうえで、
繊維業など新たな業種・業務区分を追加する閣議決定を行いました。
これにより、これらの産業における外国人労働者の受け入れが効率化され、関連業界での人材不足を補う体制が整備されました。
直近の受け入れ人数
特定技能工業製品製造業分野の在留外国人数は、合わせて44,626人です。(※2024年8月末現在 / 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業と記載あり)
これらの産業における外国人労働者の受け入れが効率化され、関連業界での人材不足を補う体制が整備されました。
5年間の受け入れ上限は、173,300人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
特定技能工業製品製造業分野の所管省庁は、経済産業省です。
経済産業省は、産業技術や製造業の振興を担当しており、特定技能の受け入れに関する方針やガイドラインを策定しています。
技能試験
工業製品製造業分野で働くためには、「製造分野特定技能1号評価試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト」または、
「日本語能力試験N4レベル以上」に合格する必要があります。
試験では、製造現場における基本的な操作や安全対策に関する知識が問われます。
それぞれの区分内容
工場製品製造分野では、10区分に分かれており、それぞれ従事できる仕事が細かく分かれております。
10区分の内どの区分が会社の業務内容と合っているのか確認する必要があります。
- ・機械金属加工区分
- ・電気電子機器組立て区分
- ・金属表面処理区分
- ・紙器・段ボール箱製造区分
- ・コンクリート製品製造区分
- ・RPF製造区分
- ・陶磁器製品製造区分
- ・印刷・製本区分
- ・紡織製品製造区分
- ・縫製区分
区分ごとの詳細は出入国在留管理庁の特定技能1号の各分野の仕事内容に記載してあります。
雇用形態
特定技能素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の分野でも、直接雇用のみが許可されています。
派遣労働や業務委託では雇用できないため、製造業者は直接雇用契約を結ぶ必要があります。
建設業
特定技能建築は、日本の建設業における深刻な人手不足を補うために設けられた特定技能制度の対象分野です。
日本のインフラ整備や都市開発が進む中、外国人労働者が建設現場で重要な役割を担っています。
特定技能建築では、かつて19の業務区分に分かれていましたが、
現在は「土木区分」「建築区分」「ライフライン・設備区分」の3つの区分に統合され、受け入れが行われています。
直近の受け入れ人数
特定技能建築の在留外国人数は、33,948です。(※2024年8月末現在)
人手不足だけでなく、建設業は高齢化も進んでおり、建築業界における人材不足解消は、まさに急務となりつつあります。
特定技能建築は、日本のインフラ維持・発展に欠かせない労働力を提供しており、今後も需要が拡大することが予想されます。
5年間の受け入れ上限は、80,000人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
特定技能建築分野は、国土交通省が所管しています。
国土交通省は、建設業界全体の人手不足対策や外国人労働者の受け入れに関する政策の策定を行い、現場での適正な雇用環境の整備を担当しています。
技能試験
特定技能建築で働くためには、「建設分野特定技能評価試験」に合格する必要があります。
試験は、以下の3区分に対応しており、それぞれの分野に特化した技能が問われます。
- ・土木分野の試験では、土木工事に関する基礎知識や施工技術が評価されます。
- ・建築分野の試験は、建物の基礎や仕上げに関する技術が問われます。
- ・ライフライン・設備分野では、電気設備や配管に関する技術が必要です。
また、これらの試験に加えて、「国際交流基金日本語基礎テスト」または、「日本語能力試験N4レベル以上」に合格する必要があります。
それぞれの業務内容
- ・土木分野:道路建設や橋梁の施工、トンネル工事などが主な業務
- ・建築分野:住宅やビルの建設に関わる基礎工事や仕上げ作業、内装や外装の施工などが含まれる
- ・ライフライン・設備分野:電気設備、上下水道、ガス配管の工事やメンテナンスが主な業務
雇用形態
特定技能建築も、直接雇用のみが許可されています。
建設会社や施工業者が外国人労働者と直接雇用契約を結ぶことが必要で、派遣や業務委託契約では雇用することができません。
造船・舶用工業
特定技能造船・舶用工業は、日本の造船業界における深刻な人手不足を補うため、外国人労働者を受け入れるための制度です。
日本は世界有数の造船国ですが、高齢化や若者の減少に伴い、熟練労働者の不足が課題となっています。
この分野では、元々6つの業務区分で分かれておりましたが、作業範囲も限定的なことや現場の多能工化について業界団体より要望あった為、
2024年3月29日以降より「造船区分」「舶用機械区分」「舶用電気電子機器区分」の3つの区分に再編し、作業範囲を拡大しました。
※赤文字は作業範囲を拡大した箇所
直近の受け入れ人数
特定技能造船・舶用工業の在留外国人数は、9,117人です。(※2024年8月末現在)
地方圏では、少子高齢化・生産年齢人口減少が急激に進んでいることに加えて、若者の地方から都市部への流出により、
日本人の若手就労者の確保に苦労している傾向にあります。
5年間の受け入れ上限は、36,000人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
特定技能造船・舶用工業分野は、国土交通省です。
国土交通省は、造船業界の人材育成と労働環境の整備を担当しており、外国人労働者の受け入れ基準や就労条件を規定しています。
技能試験
特定技能造船・舶用工業で働くためには、「新業務区分に対応した特定技能試験」に合格する必要があります。
ただし、新業務区分に対応した特定技能試験が開始されるまでの間の経過措置として、「旧業務区分に基づき在留許可を受けている者」または、
「旧区分試験に合格した者」は、旧業務区分が含まれる新業務区分のすべての業務に従事可能となります。
また、今後、新たに特定技能の在留資格を得る者は、「新業務区分に基づく在留資格」が付与されます。
出典:造船・舶用工業分野における業務区分再編について|国土交通省
これらの試験に加えて、「国際交流基金日本語基礎テスト」または、「日本語能力試験N4レベル以上」に合格する必要があります。
それぞれの業務内容
- ・造船:監督者の指示を理解し、又は自らの判断により船舶の製造工程の作業に従事
- ・舶用機械:監督者の指示を理解し、又は自らの判断により舶用機械の製造工程の作業に従事
- ・舶用電気電子機器:監督者の指示を理解し、又は自らの判断により舶用電気電子機器の製造工程の作業に従事
雇用形態
特定技能造船・舶用工業分野でも、直接雇用のみが認められています。
派遣や業務委託の形態での雇用はできず、造船会社が外国人労働者を直接雇用する形となります。
特定技能造船・舶用工業分野は、熟練した技能を持つ外国人労働者が造船業界を支える重要な柱となっており、
今後もさらなる受け入れが期待されています。
自動車整備
特定技能自動車整備は、特定技能1号のみでの受け入れでしたが、2023年6月の閣議決定より特定技能2号の受け入れが可能となりました。
令和6年7月16日から国内において自動車整備分野特定技能2号評価試験を開始することとなりました。
業務区分
自動車整備分野の業務区分は一点のみで、以下の業務が対象となります。
- ・日常点検整備
- ・定期点検整備
- ・特定整備
- ・特定整備に付随する業務
これらの業務は、自動車の安全性や機能を維持するために欠かせない重要な整備作業です。
日常的な点検から、法定整備、さらには車検対応の整備業務に至るまで、幅広い整備業務が含まれます。
直近の受入れ人数
特定技能自動車整備の在留外国人数は、2,955人です。(※2024年8月末現在)
5年間の受け入れ上限は、10,000人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
自動車整備分野は、国土交通省が所管しています。
国土交通省は、自動車整備士の資格要件や整備基準を定め、外国人労働者が適正に就労できるように管理しています。
技能試験
特定技能自動車整備で働くためには、「自動車整備分野特定技能評価試験」または、「自動車整備士技能検定試験3級」に合格する必要があります。
この試験では、日常点検や定期整備の技術が問われ、自動車整備や車両の基本的な機能点検に関する知識と技能が評価されます。
また、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」も必須です。
可能な業務・不可能な業務
- ・日常点検整備::オイル交換やタイヤの点検、ブレーキの確認など、日常的な車両点検業務
- ・定期点検整備:法定点検に従って車両全体の機能を定期的に確認・整備する業務
- ・特定整備:自動車の電子制御装置に関する高度な整備作業を指し、安全運転に直結する重要な点検・整備
- ・特定整備に付随する業務:特定整備を行う際に必要となる準備や関連する補助的な作業
そのほか、以下のような関連業務に付随的に従事することも可能です。
ただし、関連業務だけに従事することはできませんので、注意が必要です。
- ・整備内容の説明及び関連部品の販売
- ・部品番号検索・部内発注作業
- ・ナビ・ETC等の電装品の取付作業
- ・洗車作業
- ・下廻り塗装作業
- ・車内清掃作業
- ・構内清掃作業
- ・部品等運搬作業
- ・設備機器等清掃作業
雇用形態
特定技能自動車整備分野でも、直接雇用のみが許可されています。
自動車整備会社やディーラーなどが外国人労働者を直接雇用する形での契約が必要であり、派遣や業務委託契約では雇用できません。
航空
近年では、訪日外国人旅行者数の増加に伴い、「航空」分野の人手不足が深刻化しています。
空港業務では、地上作業をはじめとする様々なサポート業務が不可欠であり、外国人労働者がその需要を支えています。
今後、訪日外国人旅行者数の政府目標もあり、更に増加が見込まれるため人員が必要となるでしょう。
直近の受入れ人数
特定技能航空の在留外国人数は、1,014人です。(※2024年8月末現在)
5年間の受け入れ上限は、4,400人が受け入れ見込みとされています。
出典:航空分野における新たな外国人材の受入れについて | 国土交通省
所属する所管省庁
特定技能航空分野を所管するのは、国土交通省です。
国土交通省は、航空分野での特定技能制度に関する基準やガイドラインを策定し、現場での適正な雇用環境を監督しています。
技能試験
特定技能航空で働くためには、「航空分野特定技能評価試験」に合格する必要があります。
この試験では、航空機の地上支援や航空貨物の取扱いに関する基本知識や技能が評価されます。
また、日本語能力試験(N4以上)の合格も必要で、現場での指示理解や安全確保のためのコミュニケーション力が求められます。
それぞれの業務内容
空港グランドハンドリング業務
- ・航空機地上走行支援業務:航空機の駐機場への誘導や移動
- ・手荷物や貨物取扱業務:手荷物や貨物の仕分け、ULDへの積付、取り降し・解体
- ・手荷物や貨物の搭降載取扱業務:手荷物や貨物の航空機への移送、搭降載
- ・航空機内外の清掃整備業務:客室内清掃、遺失物等の検索、機用品補充や機体の洗浄
航空機整備業務
- ・運航整備:空港に到着した航空機に対して、次のフライトまでの間に行う整備
- ・機体整備:通常1~1年半毎に実施する、約1~2週間にわたり機体の隅々まで行う整備
- ・装備品・原動機整備:航空機から取り下ろされた脚部や動翼、 飛行・操縦に用いられる計器類等及びエンジンの整備
雇用形態
特定技能航空分野の外国人労働者は、直接雇用のみが認められています。
航空会社や空港運営会社が外国人労働者と直接雇用契約を結ぶ必要があり、派遣や業務委託契約での雇用は許可されていません。
宿泊
「宿泊」の特定技能ビザは、宿泊業において人手不足が最も深刻と言われているフロントスタッフや
接客などの仕事に従事することができます。
直近の受入れ人数
特定技能宿泊の在留外国人数は、531人です。(※2024年8月末現在)
5年間の受け入れ上限は、23,000人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
特定技能宿泊分野の所管省庁は、国土交通省です。
国土交通省は、宿泊施設における労働環境や外国人労働者の適正な雇用基準を策定し、受け入れ企業に対するガイドラインを提供しています。
技能試験
特定技能宿泊分野で働くためには、「宿泊分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。
この試験では、宿泊業務に必要な基本的な接客スキル、清掃手法、施設管理に関する知識が問われます。
また、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」も必須です。
可能な業務・不可能な業務
- ・フロント業務:チェックイン・チェックアウトの手続き、宿泊客への案内、電話対応など
- ・接客業務:宿泊客へのサービス提供、リクエスト対応
- ・レストランサービス:レストランでの接客、料理提供
- ・企画・広報業務:宿泊プランの企画、広告宣伝活動
- ・安全衛生管理:施設内の衛生管理、安全対策の実施
また、ハウスキーピングやベッドメイキングなどの裏方業務のみに従事することは不可能なため、
清掃やメンテナンスが主な仕事となる場合は、「特定技能ビルクリーニング」のビザを取得している外国人を採用する必要があります。
雇用形態
特定技能宿泊分野でも、直接雇用のみが許可されています。
宿泊施設の運営会社が外国人労働者を直接雇用し、派遣や業務委託による雇用は認められていません。
農業
特定技能農業は、日本の農業分野で深刻な人手不足を補うために設けられた制度です。
特に農業では、高齢化や後継者不足が進んでいるため、即戦力となる外国人労働者が重要視されています。
特定技能制度により、栽培から収穫、出荷に至るまで、幅広い作業を行う技能を持つ外国人労働者が受け入れられ、日本各地で活躍しています。
直近の受入れ人数
特定技能農業の在留外国人数は、28,918人です。(※2024年8月末現在)
5年間の受け入れ上限は、78,000人が受け入れ見込みとされています。
また、特定技能1号のみでの受け入れでしたが、2023年6月の閣議決定より特定技能2号の受け入れが可能となりました。
所属する所管省庁
特定技能農業分野を所管しているのは、農林水産省です。
農林水産省は、外国人労働者の雇用基準や農作業の安全管理に関するガイドラインを策定し、適切な雇用が行われるように監督しています。
技能試験
特定技能農業で働くには、「農業技能測定試験」に合格する必要があります。
この試験では、栽培・収穫作業や農業機械の取り扱いに関する基本知識と技術が問われます。
また、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」も必須です。
可能な業務・不可能な業務
- ・耕種農業:田畑に種を撒いて作物を育てるスタイルの農業で、施設園、芸畑作・野菜、果樹の栽培
- ・畜産農業:養豚、養鶏、酪農(乳牛を育てて牛乳を生産すること)
「栽培管理」または「飼養管理」の業務が必ず含まれていることが必要です。
付属業務を任せること自体は可能ですが、農産物の選別の業務にのみに従事させることは不可能ですので注意しましょう。
雇用形態
特定技能農業分野の外国人労働者は、直接雇用のみが認められています。
農業法人や農家が外国人労働者を直接雇用し、派遣や業務委託による雇用形態は許可されていません。
漁業
特定技能漁業分野は、日本の水産業で深刻な人手不足を補うために設けられた制度です。
日本の漁業は高齢化や後継者不足が進み、人材確保が課題となっています。
直近の受入れ人数
特定技能農業の在留外国人数は、3,221人です。(※2024年8月末現在)
5年間の受け入れ上限は、17,000人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
特定技能漁業分野の所管省庁は、農林水産省です。
農林水産省は、漁業における外国人労働者の雇用基準や作業環境に関するガイドラインを定め、
適切な雇用環境が確保されるよう監督しています。
技能試験
特定技能漁業で働くためには、「1号漁業技能測定試験」に合格する必要があります。
この試験では、漁業と養殖業の2つの試験区分があります。漁船での操業技術や水産加工に関する基本知識と技術が問われます。
また、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」も必須です。
可能な業務・不可能な業務
- ・漁業:漁具の製作や補修、⽔産動植物の探索、漁具や漁労機械の操作、⽔産動植物の採捕、漁獲物の処理や保蔵、安全衛⽣の確保など
- ・養殖業:養殖資材の製作や補修管理、養殖⽔産動植物の育成管理、養殖⽔産動植物の収獲(穫)や処理、安全衛⽣の確保 など
「漁業」または「養殖業」に従事する⽇本⼈が通常従事することとなる、関連業務については従事することは可能ですが、
漁業または養殖業以外の業務に従事させることはできませんので注意が必要です。
雇用形態
特定技能漁業分野では、直接雇用および派遣が認められています。
これにより、漁業組合や水産会社が外国人労働者を直接雇用するほか、派遣という形態での雇用も可能です。
飲食料品製造業
飲食料品製造業は、長時間労働や休日の少なさが職員の離職につながりやすい業界です。
また、職場内の雰囲気が悪いケースもあり、こうした働きにくさが人手不足の原因の1つとされています。
特定技能1号のみでの受け入れでしたが、2023年8月31日より、飲食料品製造業も2号の対象分野として追加されています。
直近の受入れ人数
特定技能飲食料品製造の在留外国人数は、71,540人(全体の29.3%)です。(※2024年8月末現在)
5年間の受け入れ上限は、139,000人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
特定技能飲食料品製造業分野の所管省庁は、農林水産省です。
農林水産省は、食品製造分野での外国人労働者の適正な雇用基準や職場環境に関するガイドラインを策定し、
受け入れ企業の指導や監督を行っています。
技能試験
特定技能飲食料品製造業で働くためには、「飲食料品製造業技能測定試験」に合格する必要があります。
この試験では、食品製造や加工の基本的な知識や技術が問われます。
また、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」も必須です。
それぞれの業務
特定技能が従事できる対象となるのは日本標準産業分類における、以下の7分類に該当する事業所が対象となります。
- 1.食料品製造業
- 2.清涼飲料製造業
- 3.茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
- 4.製氷業
- 5.菓子小売業(製造小売)
- 6.パン小売業(製造小売)
- 7.豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
また、「1.の食品製造業」に含まれるものは以下の通りとなります。
- ・畜産食料品製造業:部分肉・冷凍肉、肉加工品 など
- ・水産食料品製造業:水産缶詰・瓶詰、海藻加工 など
- ・野菜缶詰、果実缶詰、農産保存食料品製造業:野菜漬物 など
- ・調味料製造業:味噌、しょう油・食用アミノ酸 など
- ・糖類製造業:砂糖、ぶどう糖・水あめ・異性化糖 など
- ・精穀・製粉業:精米・精麦、小麦粉 など
- ・パン・菓子製造業:生菓子、ビスケット類・干菓子 など
- ・動植物油脂製造業
- ・その他の食料品製造業:でんぷん、めん類、豆腐や油揚げ、あん類、冷凍調
- 理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品 など
雇用形態
特定技能飲食料品製造業分野でも、直接雇用および派遣の形態が認められています。
これにより、企業が直接雇用するほか、派遣労働者としての雇用も可能です。
外食業
特定技能外食は、日本の飲食店業界が抱える人手不足の解消を目的に設けられた制度です。
外食業分野においては、訪日観光客の増加やコロナ後の外食普及率の回復など飲食店の需要が高まっていることから、
外国人を含め外食業では人手を求められています。
直近の受入れ人数
特定技能外食の在留外国人数は、22,826人(全体の6.4%)です。(※2024年8月末現在)
5年間の受け入れ上限は、53,000人が受け入れ見込みとされています。
所属する所管省庁
特定技能外食業分野の所管省庁は、農林水産省です。
農林水産省は、外食産業における外国人労働者の雇用基準や、労働環境に関するガイドラインを策定し、
適正な雇用管理が行われるよう監督しています。
技能試験
特定技能外食業で働くためには、「学科試験」と「実技試験」に合格する必要があります。
「学科試験」は外食の業務に必要な日本語能力、「実技試験」は正しい行動の選択と作業計画を立てられるかの能力を測ります。
試験の実施回数は、1年を通して1月・5月・10月頃に行われ、試験を受ける為には事前の申請が必要となります。
日本国内と海外に会場があり、海外では7か国で実施されています。
- ・フィリピン
- ・インドネシア
- ・ネパール
- ・ミャンマー
- ・カンボジア
- ・タイ
- ・スリランカ
また、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」も必須となります。
可能な業務・不可能な業務
- ・飲食物調理:客に提供する飲食料品の調理、調整、製造を行うもの
- ・接客:客に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務を行うもの
- ・店舗管理:店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの
特定技能外食は、業務の一環としてデリバリー業務を行うことは可能ですが、デリバリーのみの業務に従事することはできません。
また、宿泊施設の配膳や調理、盛り付け、洗い物やお皿のセッティングなどの業務のみであれば就労可能となります。
雇用形態
特定技能外食業分野では、直接雇用のみと定められております。
また、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上、週労働時間が30時間以上である「フルタイム」も条件となります。
特定技能の対象に追加される4分野
日本国内での人手不足が深刻化する中、2024年3月29日より特定技能制度の対象分野がさらに拡大しました。
これにより、幅広い業種での外国人労働者の受け入れが可能になり、日本の経済活動を支える新たな人材が期待されています。
自動車運送業
特定技能自動車運送業は、日本の物流と運輸業界における人手不足を解消するために新たに追加された特定技能分野の一つです。
少子高齢化の影響で、長距離輸送や地域物流を担う人材が不足しており、特定技能外国人が新たな労働力として期待されています。
また、特定技能自動車運送業では、直接雇用のみと定められております。
主な業務
特定技能1号に追加された自動車運送業については、トラック、バス、タクシーの3区分に分かれています。
- ・トラック運送業:貨物自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行 など
- ・タクシー運送業:一般乗用旅客自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行 など
- ・バス運送業:一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業 または、特定旅客自動車運送事業における運行前後の点検 など
受け入れ要件
特定技能については、受け入れる「所属機関(企業)」と「外国人本人」に要件があります。
そのほかに特定技能各分野共通の受け入れ要件もあるので合わせて確認が必要です。
1.特定技能評価試験の合格(対象:外国人本人)
自動車運送業に関連する特定技能評価試験に合格する必要があり、基本的な運転技術や安全知識が求められます。
2.運転免許の取得(対象:外国人本人)
日本国内で有効な運転免許(中型・大型免許など)が必須となります。
業務内容に応じて、求められる免許の種類が異なります。
3.日本語能力(対象:外国人本人)
日本語能力試験(N4以上)または、同等の日本語レベルが求められます。
4.安全教育と運行管理体制の整備(対象:所属機関)
受け入れ企業は、安全運行に必要な教育を実施し、適切な運行管理体制を整備することが求められます。
また、外国人が理解できる言語で支援できるなど、外国人を支援する体制・支援契約が適切であることも求められます。
特定技能1号 | 自動車運送業の受け入れ要件・雇用方法・注意点を解説
鉄道
鉄道業界では、保線等に従事する作業員の不足による終電の繰り上げや、
運転士の不足による運行本数の減便等が発生しており、人手不足への対応が課題となっています。
鉄道業界における人手不足への対応のため、外国人材の活用に向けて、輸送の安全確保を前提に専門性にも配慮しつつ、
現場での業務を支えるために外国人労働者が即戦力として期待されています。
また、特定技能鉄道では、直接雇用のみと定められております。
主な業務
主な業務は5つに区分されております。
- ・軌道整備:軌道等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務 など
- ・電気設備整備:電路設備、変電所等設備、電気機器等設備、信号保安設備、保安通信設備、
- 踏切保安設備等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務 など
- ・車両整備:鉄道車両の整備業務 など
- ・車両製造:鉄道車両、鉄道車両部品等の製造業務 など
- ・運輸係員:駅係員、車掌、運転士 など
受け入れ要件
特定技能については、受け入れる「所属機関(企業)」と「外国人本人」に要件があります。
そのほかに特定技能各分野共通の受け入れ要件もあるので合わせて確認が必要です。
1.特定技能評価試験の合格(対象:外国人本人)
特定技能鉄道で働くためには、「鉄道分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。
業務が5つ区分されていたように、試験でも同様に5つそれぞれ区分されており、従事する業種の試験に合格する必要があります。
2.日本語能力(対象:外国人本人)
日本語能力試験(N4以上)または、同等の日本語レベルが求められます。
3.直接状態(対象:所属機関)
労働者の受け入れは直接雇用が原則とされており、派遣などの形態は認められていません。
4.国交省鉄道局の鉄軌道事業者一覧への掲載または定められた業務区分(対象:所属機関)
特定技能1号を「鉄道」で受け入れる場合は、国土交通省鉄道局のHPに載せている、鉄軌道事業者一覧に掲載されているか、
もしくは定められた区分の業務を行っている事業所である必要があります。
5.鉄道分野特定技能協議会の構成員(対象:所属機関)
国土交通省が設置する「鉄道分野特定技能協議会」の構成員になることが必要です。
所属機関は、協議会に対し必要な協力などを行うことが求められます。
また、協議会への協力とは別に、国土交通省や委託を受けた機関が実施する調査・指導に対して、
必要な協力をおこなうことも定められています。
6.業務に必要な知識や日本語について指導
外国人材が円滑に業務に取り組めるように、業務に必要な知識や日本語について指導が必要です。
特定技能鉄道は、専門的な知識や経験が必要な分野なので、知識・ルール、日本語の習得などのサポートを行うようにしましょう。
林業
特定技能林業は、日本国内の森林管理や木材産業における人手不足を補うために設けられた制度です。
林業は、森林の維持管理や持続可能な木材供給を担う人材が求められています。
また「森林・林業基本計画」という、森林・林業施策の基本的な方針等を定めるものがありますが、
就業者は毎年減少しているため、即戦力となる人材を確保するために国人労働者を受け入れる方針になりました。
主な業務
- ・育林
- ・素材生産
- ・林業用種苗の育成(育苗)
- ・原木生産を含む製炭作業
受け入れ要件
特定技能については、受け入れる「所属機関(企業)」と「外国人本人」に要件があります。
そのほかに特定技能各分野共通の受け入れ要件もあるので合わせて確認が必要です。
また、特定技能林業では、直接雇用のみと定められております。
1.特定技能評価試験の合格(対象:外国人本人)
特定技能林業で働くためには、「林業技能測定試験」に合格する必要があります。
2.日本語能力(対象:外国人本人)
「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」が必須となります。
3.林業特定技能協議会の構成員になること(対象:所属機関)
農林水産省が設置する「林業特定技能協議会」の構成員になることが必要です。
所属機関は、協議会に対し必要な協力などを行うことが求められます。
また、協議会への協力とは別に、農林水産省や委託を受けた機関が実施する調査・指導に対して、
必要な協力をおこなうことも定められています。
木材産業
木材産業もまた慢性的な人手不足が指摘されており、木材産業も特定産業分野に追加されました。
受入れの目標値として、2024年度から5年間でおよそ5,000人の特定技能外国人を活用していくことを明らかにしています。
また、特定技能木材産業では、直接雇用のみと定められております。
主な業務
製材業、合板製造業等に係る木材の加工などに従事することが可能です。
また、日本人が通常従事している関連業務(原材料の調達・受入れ、製品検査、製品の出荷、作業場所の整理整頓・清掃など)に
付随的に従事することもできます。
受け入れ要件
特定技能については、受け入れる「所属機関(企業)」と「外国人本人」に要件があります。
そのほかに特定技能各分野共通の受け入れ要件もあるので合わせて確認が必要です。
1.特定技能評価試験の合格(対象:外国人本人)
特定技能木材産業で働くためには、「木材産業特定技能1号測定試験」に合格する必要があります。
2.日本語能力(対象:外国人本人)
「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」が必須となります。
3.「木材産業特定技能協議会」の構成員(対象:所属機関)
農林水産省が設置する「木材産業特定技能協議会」の構成員になることが必要です。
所属機関は、協議会に対し必要な協力などを行うことが求められます。
また、協議会への協力とは別に、農林水産省や委託を受けた機関が実施する調査・指導に対して、必要な協力をおこなうことも定められています。
4.労働安全の確保(対象:所属機関)
「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範」に基づく取組を行う必要があります。
まとめ
特定技能12分野と、新たに追加された「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材業務」について解説しました。
分野によって、受け入れ要件や可能な業務の範囲などが細かく分かれていることから、採用する際には注意が必要です。
Stepjobでは、初めて外国人を受け入れる企業様でも安心していただけるよう、人材紹介をはじめ、
ビザ申請サポートや生活支援、助成金・補助金 自動システム、研修コンテンツ動画など様々なサポートをご用意しております。
また、Stepjobの採用方法は「人材紹介」「スカウト」「掲載」の3種類あり、企業様に合わせて採用方法を選ぶことができます。
外国人の採用を検討されている方や、お困りの方はぜひご相談ください。