【緊急寄稿】外国人人材採用の2023年問題

採用関連情報

ポールトゥウィン株式会社
第四事業部Stepjobグループ
コンサルタントチーム

 

20201月にコロナウィルス(COVID-19)が感染拡大してすぐに、海外からの入国が止まりました。
出国も入国も大幅に制限され、日本は事実上の鎖国状態に陥りました。

結果、コロナ前は40万人以上いた技能実習生が、202112月末時点では(出入国在留管理局発表)27.6万人まで減っています。

その一方で、帰国困難となった技能実習生が特定活動ビザ(特例によるいわゆる「コロナビザ」)に切り替えて元の職場で就労を継続したり、就職難の留学生も卒業後に就職活動をしながら特定活動ビザでアルバイトを継続していました。

そのような状況下で、奇しくも20194月より導入された新しい在留資格「特定技能」がにわかに注目を浴び、
該当分野の産業で技能実習生や留学生から特定技能への就職が進む結果となりました。

 

このように特定技能への就職が急速に進んだ結果、直近20226月末時点で特定技能は累計8.7万人まで増えることとなりました。
特定技能の制度の周知が進み、求職者、求人側の利用が進んだこともあり、20203月、コロナ感染拡大直後は4,000人に満たなかった特定技能がいまは20倍以上に増えています。

 

■特定技能全体の推移(出入国在留管理局のデータより集計)

特定技能全体の推移(出入国在留管理局のデータより集計)

これは来日困難な新しい技能実習生を待ちわびていた企業にとっては救いの神と言えますし、帰国困難の技能実習生や就職難の留学生にとって藁にもすがる思いだったことでしょう。もちろん、すでに帰国してしまった技能実習生や留学生も少なからずいますが、多くが日本に残って頑張っています。在留期限が最長5年間とはいえ、技能実習生や留学生時代よりも多くの収入を得て、日本で働けるからです。

 

中でも、特定技能介護に関しては、この1年ほど、人気が急上昇しており、下記グラフの通り、希望者も増えております。

 

■特定技能介護推移と介護比率(出入国在留管理局のデータより集計)

特定技能介護推移と介護比率(出入国在留管理局のデータより集計)

介護の希望者は他の分野の特定技能と比べて、一定以上の日本語力があり、介護福祉士の資格取得を目指している子たちも少なからずおります。当社も今年の7月からオンラインで介護福祉士の国試対策講座をスタートしました。特に介護技能実習生の経験者であれば、実務経験3年を経ているため、最短で1年程度で国試受験が可能となります。やる気のある子たちが国試合格できるようサポート中です。

 

しかしながら、注目を浴びているこの国内在住者からの特定技能への就職も2023年度から曲がり角を迎えそうです。

 

理由としては、下記の通りです。

(1)2020年のコロナ感染拡大以降、2年以上、ほぼ海外からの入国が止まってしまった

→昨年秋のオミクロン流行前に一部再開したが、本格的な入国は2022年春から

(2)コロナ前は40万人以上いた技能実習生が20万人台に減っている(202112月末時点)
→帰国者に加えて、9万人近くがすでに特定技能へ転職済み

(3)201912月に入国した技能実習生が202212月で2号終了予定

→帰国する人、特定技能で残る人はまちまちか?

(4)結果、2023年から技能実習生の候補者が大幅減になると見られる

   →入国再開で入ってきた技能実習生が2号、3年間満了するまでまだ2年から2年半かかる

 

こちらのデータもご参照ください。

 

■特定技能と技能実習生の推移(出入国在留管理局のデータより集計)

特定技能と技能実習生の推移(出入国在留管理局のデータより集計)

せっかく特定技能介護が1万人超え、特定技能全体に対しても12%近くまで比率が上がってきた矢先。これまで国内組の特定技能の採用に力を入れてこられた法人様、これから採用を検討中の法人様にとって大きな問題となり得るかと思います。もちろん、特定技能の国内組のご紹介に力を入れてきた当社としても頭の痛い問題です。

 

代わりに海外から新規で技能実習生を、という声も聞こえてきそうですが、介護技能実習生を現地でN4レベルまで日本語力を仕上げて来日させるまでは、通常は1年を要します。当社は4年前までベトナム現地でN3レベルまで引き上げる日本語教育(介護技能実習生の当初はN3レベルが必須でした)をやっていましたのでよくわかります。非漢字圏の外国人がゼロからのスタートでN4レベルまで達するのに8001000時間要します。18時間(自習含めて)、週5日やったとしても、最短でも半年、通常は10か月ぐらい。ビザの取得などの時間も含めると、1年以上かかります。

N3レベルに関してはさらに追加で8001000時間かかります。1年から1年半ぐらいです。

いまはN4レベルでもOKになっていますが、実際の現場では来日時にN3レベルで呼ばないと仕事を教えるのも一苦労かと思われます。現地では教科書通りの日本語しかやらないので、生きた日本語が理解できない、使えないからです。

 

先日打合せをさせていただいた法人様でも、介護技能実習生がN4レベルで来たはずが、そのレベルにすら達しなくて現場が大変な思いをしたともおっしゃっていました。送り出し機関によって差はありますが、送り出し機関の現地人の先生はだいたいN3レベルです。それで、介護以外の技能実習生の場合はカタコトや挨拶だけ教えて数か月、N5レベルぐらいでさっさと日本へ送り出します。介護だとN4縛りがあるので10か月から1年は教えますが、それでも、現地の先生では限界があります。

 

当社も以前にベトナムで日本語教育をやっていた時は、ベトナム人の先生はハノイ国家大学などの有名大学の日本語学科を卒業したN1またはN2保有の優秀な先生と、日本人の日本語教師を使い分けていました。そもそもN3レベルの教育をやるのにN2以上のレベルの日本語教師が必要ですし、いかに優秀な現地の先生でも発音や発話では日本人には敵わないからです。

 

当社はこの10年間、医療介護人材に特化して人材の育成と紹介を行ってきました。6年ほど前から介護福祉士の留学生のプログラムに力を入れ、延べで450名ほど全国の介護施設様、病院様にご紹介をしてきました。特にベトナム人の扱いに関してはサポート含めて長けております。

2022年10月現在、求職者の登録数は1,000名を超え、直近でも多くの求職者が登録をしています。
※求職者リストをダウンロードしてご確認ください。
Stepjob求職者リスト(20221024)

2023年問題に向けて採用をどうお手伝いしていくか?人材難をいかに乗り越えていくか?当社もいろいろと考えながら、対策と準備を進めているところです。

 

今回の「外国人介護人材採用の2023年問題」をテーマとしまして、緊急セミナーも開催予定です。
HPやメルマガ等で随時ご案内していきます。

セミナー参加やメールの配信をご希望の方は、こちらよりお申込みをお願いいたします。

今後ともよろしくお願いいたします。

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