介護求人が集まらない原因とは?応募を増やす対策と外国人材採用のポイント

採用ノウハウ

介護職の求人を出しているにもかかわらず、「なかなか応募が集まらない」とお悩みの採用担当者様は少なくありません。少子高齢化に伴う介護需要の増加に対して、介護人材の供給が追いついていない現状では、従来の求人手法をそのまま続けるだけでは応募者数を増やすことが難しくなっています。

介護業界における求人の応募状況を改善するためには、求職者がどのような条件や環境を求めているのかを把握し、自社の募集方法や労働環境を見直すことが重要です。また、日本人求職者からの応募が限られる中では、特定技能をはじめとする外国人材の採用を視野に入れることも、有効な選択肢の一つとなります。

本記事では、介護求人に人が集まらない原因と具体的な対策、さらに外国人材を採用する際のメリットや注意点について、公的データをもとに採用実務の視点から詳しく解説します。

介護求人が集まらない現状とは?データで見る人手不足

介護求人が集まらないという課題は、多くの介護事業所や施設が直面している深刻な問題です。
ここでは、求人が集まらない背景にある基本的な要因と、業界が置かれている現状について解説します。

介護職の有効求人倍率は3.87倍

介護関係職種の有効求人倍率は3.87倍(2025年6月)で、全職業の1.05倍を大きく上回っています。
また、必要な介護職員数は2026年度に約240万人、2040年度に約272万人と推計される一方、実際の介護職員数は約212.6万人(2024年10月時点)とほぼ横ばいで推移しています。

【図】介護関係職種と全職業の有効求人倍率(自社作成)
介護職員の必要数の推計など、業界全体の人手不足の状況は「介護業界の人手不足の原因と解決策」で詳しく解説しています。

介護業界における求人難の背景

介護業界で求人への応募が集まりにくい主な理由には、労働力人口の減少と、介護職に対するイメージや労働条件への懸念があります。特に、身体的・精神的な負担が大きいというイメージや、賃金水準に対する不満が、求職者が応募をためらう要因になりやすい傾向が見られます。実際に、介護職員の賞与込み給与は月30.3万円と、産業計(役職者を除く)の38.6万円を下回っています(令和6年賃金構造基本統計調査)。

また、求人票に記載されている情報が不十分である場合や、競合する他社と比較してアピールポイントが伝わりにくい場合も、応募数の伸び悩みに直結します。求人を出せば自然に応募が集まっていた時代とは異なり、現在は企業側から選ばれるための工夫が求められています。

採用市場におけるミスマッチの発生

求人が集まらない背景には、企業が求める人物像と求職者が希望する条件との間にミスマッチが生じているケースも多く存在します。例えば、資格や経験を必須条件に設定しているにもかかわらず、提示する給与水準が地域相場と合っていない場合、応募のハードルが高くなりすぎてしまいます。

採用活動を円滑に進めるためには、自社の求人条件が現在の求人市場において妥当であるかを定期的に見直し、必要に応じて条件の緩和や柔軟な働き方の導入を検討することが不可欠です。

介護求人が集まらないときの改善策

介護求人への応募を増やすためには、求人票のブラッシュアップから労働環境の整備まで、多角的なアプローチが必要です。ここでは、採用担当者がすぐに実践できる具体的な対策を解説します。

求人票の内容とアピールポイントの見直し

求人票を作成・更新する際は、求職者が本当に知りたい情報を網羅しているか確認しましょう。具体的な業務内容や勤務シフトの希望が通るかどうかに加え、研修制度やキャリアパスが分かりやすく記載されていることが重要です。

また、「未経験者歓迎」「資格取得支援あり」といった、応募しやすい環境が整っていることを明確に伝えることで、これまで応募をためらっていた層からの関心を惹きつけることができます。

【表】求人票の見直し例

項目改善前の例改善後の例
給与月給20万円〜基本給・処遇改善手当・夜勤手当の内訳とモデル月収を記載
勤務シフトシフト制各シフトの時間帯、夜勤回数の目安、希望休の取りやすさ
研修研修制度あり同行研修の期間、資格取得費用の補助内容

採用チャネルの多様化と選考プロセスの迅速化

ハローワークや従来の求人媒体だけでなく、Web上の求人検索エンジンやSNS、人材紹介サービスなど、複数のチャネルを組み合わせて活用することが効果的です。ターゲット層に合わせた媒体選びを行うことで、より多くの求職者に求人情報を届けることができます。

さらに、応募があった場合のレスポンス速度も重要な要素です。
面接までの連絡がスムーズに行われるかどうかが、内定辞退を防ぎ、確実な採用につなげるための鍵となります。

求職者は複数の事業所に同時に応募していることが多いため、応募当日から翌営業日までに連絡するのが理想です。

処遇改善加算を活用した賃金の見直し

2026年6月から処遇改善加算の対象が介護従事者全体に拡大され、介護職員は最大で月1.9万円(6.3%)の賃上げが見込まれています。取得した加算は、求人票に「処遇改善手当」として明記しましょう。

応募が集まらないときは外国人材の採用も選択肢に

日本人求職者からの応募が頭打ちになっている状況において、外国人材の積極的な採用は、介護現場の人手不足を解消する強力な選択肢となります。ここでは、外国人材を採用する具体的なメリットについて解説します。

介護分野で外国人材を受け入れる主な在留資格には、特定技能・介護・技能実習・EPAの4つがあり、特定技能「介護」の在留者数は6万7,871人(2025年12月末)に達しています。それぞれの違いは「外国人介護人材の4つの在留資格の比較と選び方」をご覧ください。

意欲的な人材の確保と組織への活性化

採用市場において、日本国内だけでなく海外にも目を向けることで、介護職に対する強い就業意欲を持った優秀な人材に出会う機会が広がります。特に「特定技能」などの在留資格を活用する場合、一定の日本語能力や介護の基礎知識・技能を備えた人材を迎え入れることが可能です。特定技能1号の人材は、就労開始直後から人員配置基準に算入できる点もメリットです。

長期的な定着と戦力化への期待

外国人材の受け入れにおいて、適切な生活支援や日本語学習のサポートを行うことで、企業へのロイヤルティが高まり、長期的な定着につながりやすいという特徴があります。介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」へ移行でき、期間の上限なく働き続けることも可能です。

ただし、受け入れにあたっては、日本の介護現場や文化に対する理解を深めてもらうための丁寧な伴走支援が不可欠です。
なお、2025年4月からは、初任者研修の修了や実務経験などの要件を満たせば、特定技能・技能実習の外国人材も訪問介護に従事できるようになりました。

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外国人材を採用するときの注意点とリスク管理

外国人材を含めた新たな採用手法を取り入れる際には、いくつかの注意点やリスクを事前に把握し、適切に対策を講じておく必要があります。

コミュニケーションと労働環境の配慮

介護現場における業務は、利用者や他のスタッフとの円滑な意思疎通が不可欠です。日本語でのコミュニケーションに不安がある場合は、業務マニュアルにルビを振る、簡単な言葉やイラストを活用するなど、現場全体で工夫することが求められます。

また、国籍や文化的背景の違いによって、生活習慣や考え方に個人差がある点を理解し、特定のステレオタイプにとらわれず、一人ひとりの個性や意欲に向き合う姿勢が大切です。

法令遵守と受け入れ体制の整備

外国人材を雇用する際は、労働基準法などの国内法令を遵守することはもちろん、在留資格に応じた適法な手続きを行う必要があります。特に特定技能制度を利用する場合は、登録支援機関への委託内容や、企業自身が義務付けられている支援計画の実施体制を確認しなければなりません。

また、特定技能「介護」には、直接雇用であること、受入れ人数は日本人等の常勤介護職員の総数が上限であること、在留資格の申請前に「介護分野における特定技能協議会」へ加入することなどのルールがあります。受入れまでの流れは次のとおりです。

【図】特定技能「介護」で外国人材を受け入れるまでの流れ
各ステップの詳細は「外国人採用の完全フローガイド」で解説しています。

企業が採用前に確認すべきポイント

実際に介護スタッフの採用活動を始める前、および外国人材の受け入れを検討する際には、自社の体制を客観的に確認しておくことが成功への近道です。以下のチェックポイントを参考にしてください。

1. 労働条件と評価制度の透明性

  • 提示している給与や諸手当が、地域の同業他社と比較して適正な水準にあるか。
  • 評価基準が明確であり、昇給やキャリアアップの道筋が本人に伝わる仕組みになっているか。

2. 受け入れ現場の意識とサポート体制

  • 現場のスタッフが新しい仲間を迎える心構えや、指導・サポートを行う体制ができているか。
  • 日常生活や行政手続きを含めた生活支援について、自社だけで対応できるか、外部機関と連携するかの方針が決まっているか。

3. 法令・制度の確認状況

  • 採用しようとしている在留資格や雇用形態に関する法的な要件を正しく把握しているか。
  • 最新の制度変更に対応できるよう、公式情報を確認する担当者が明確になっているか。

よくある質問(FAQ)

介護求人の採用活動や外国人材の雇用に関して、採用担当者様からよく寄せられる質問をまとめました。

Q1

未経験の外国人材を採用した場合、どの程度で戦力になりますか?
A

本人の日本語能力や学習意欲、受け入れ事業所における教育体制によって個人差があります。特定技能制度を活用する場合は一定の基礎知識を有していますが、実際の介護現場での経験を積むまでの間は、OJTなどを通じた段階的な育成と丁寧なフォローアップが必要となります。
Q2

外国人材を採用する際、どのような手続きが必要ですか?

A

在留資格の種類によって必要な申請書類や手続きが異なります。例えば特定技能の場合は、雇用契約の締結に加え、支援計画の作成や特定技能協議会への加入、出入国在留管理庁への各種申請が必要となります。自社のみで対応が難しい場合は、登録支援機関の活用をご検討ください。
Q3

求人を出しても応募が全くない場合、最初に見直すべきポイントはどこですか?

A

まずは求人票のタイトルやアピールポイント、給与条件が求職者のニーズと合致しているか確認してください。
応募のハードルが高くなっていないか、より柔軟な勤務形態や待遇の提示が可能か検討することが大切です。
Q4

特定技能の外国人材には何年働いてもらえますか?

A

特定技能1号の在留期間は通算5年が上限です。ただし、在職中に介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」へ移行でき、更新回数の上限なく働き続けることができます。

まとめ

介護職の求人において応募が集まらない状況を改善するためには、求人内容や労働環境の見直しに加え、外国人材の積極的な受け入れなど、採用チャネルの多角化が効果的です。

採用活動を成功させるためには、自社の強みや改善点を正確に把握し、求職者にとって魅力的な職場環境を整えることが求められます。また、外国人材を採用する際は、法令を遵守し、現場でのコミュニケーションや生活支援の体制をしっかりと構築することが、長期的な定着と活躍につながります。

外国人採用に関するご相談・お問い合わせ

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