近年、日本では少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化しており、その解決策の一つとして外国人労働者の雇用が進められています。
その中でも、ベトナム人労働者は日本企業にとって重要な存在となりつつあります。
しかし、文化や価値観の違いを理解せずに雇用を進めると、職場でのコミュニケーション不足やトラブルの原因となることもあります。
今回は、ベトナム人の性格や仕事観や、日本企業との親和性や雇用のポイントについて詳しく解説します。
ベトナム人を理解するための基礎データ
文化・地域ごとの特徴
地理と人口
ベトナムは東南アジアのインドシナ半島東部に位置し、南北に細長い国土を持っています。
面積は約33万平方キロメートルで、日本とほぼ同じですが、地形的に山岳地帯が多く、国土の約75%が山岳地または高原です。
人口は約1億人(2024年現在)で、ASEAN諸国の中でも経済成長が著しく、若年層の労働力が豊富な国として知られています。
首都はハノイであり、経済の中心地は南部のホーチミン市です。
地域ごとの特徴
◆北部(ハノイ、ハイフォンなど)
- ・計画的で慎重な性格。
- ・保守的で組織のルールを重視する。
- ・上下関係を大切にする。
◆中部(ダナン、フエなど)
- ・忍耐強く努力家。
- ・伝統文化を重視し、礼儀を大切にする。
- ・規律を守りながらも挑戦する姿勢がある。
◆南部(ホーチミン、カントーなど)
- ・楽天的でフレンドリー。
- ・柔軟な考え方を持ち、新しいことを取り入れやすい。
- ・競争意識が強く、成果主義的。
ベトナムの宗教
ベトナムでは仏教が最も広く信仰されており、人口の約70%が仏教徒と言われています。
他にもカトリック(約7%)、プロテスタント(約2%)などの宗教もあります。
特に祖先崇拝の文化が根強く、家族を非常に大切にする価値観がベトナム社会に浸透しています。
また、ベトナムの最大の祝祭日は「テト(旧正月)」であり、この期間は多くの労働者が帰省するため、勤務スケジュールに影響を与えることがあります。
ベトナム人の性格と文化:職場での特徴と日本人との比較
ベトナム人の性格と特徴は?
一般的に言われている、ベトナム人の性格や特徴を紹介します。
- ・勤勉で真面目:目標に向かって努力することをいとわない。
- ・家族を大切にする:家族のために働く意識が強い。
- ・新しいことに挑戦するのが好き:学習意欲が高く、スキルアップを重視する。
- ・柔軟な思考を持つ:環境の変化に適応しやすい。
日本人とベトナム人の共通点と違い
日本人とベトナム人は「勤勉さ」「礼儀正しさ」などの共通点がありますが、仕事に対する考え方には違いもあります。
日本で働くベトナム人の現状:特定技能と仕事観の実態
労働者数の推移
外国人労働者数を国別にみると、ベトナムが最も多く570,708人(全体24.8%)です。
また、特定技能在留外国人数で特定産業分野別に見てみると、最も多いのは飲食料品製造業47,492人でした。
2番目は工場製品製造業26,648人、3番目は建設25,177人です。(令和6年12月末現在)
前年(令和5年12月末)と比較してみると、ベトナム人総数が+22,292人増加、分野別では特に「建設」が前年と比較すると+8,594人増加しておりました。
参照①:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
参照②:特定技能在留外国人数 | 出入国在留管理庁
仕事観
ベトナム人が日本で働く理由としては、以下の要素が挙げられます。
- ・経済的メリット:日本の賃金はベトナムより高く、家族を支えるために働く。
- ・スキル習得:技術や知識を学び、母国でのキャリアアップを目指す。
- ・文化体験:日本の先進技術や文化に触れることに魅力を感じる。
ベトナム人雇用のメリットと成功のための注意点
メリット
◆勤勉で真面目な働きぶり
- ・責任感が強く、与えられた仕事を最後までやり遂げる。
- ・向上心があり、努力を惜しまない。
◆技術職ではITスキルや手先の器用さを発揮
- ・プログラミングやデジタル技術に強い人材が多く、IT業界での活躍が期待できる。
- ・製造業や建設業では、細かい作業を得意とし、品質の高い仕事をする。
◆適応能力が高く、環境に順応しやすい
- ・海外での生活や仕事に対する順応性が高く、日本の文化や企業ルールに馴染みやすい。
- ・チームワークを重視し、周囲と協力して働くことができる。
◆語学学習への意欲が高い
- ・日本語を学びながら働くことに前向きで、日本語能力試験(JLPT)を受験する人も多い。
◆若くて活力のある労働力
- ・ベトナムの平均年齢は約30歳と若く、日本の労働力不足を補う存在として期待されている。
注意点
◆文化の違いによる誤解(家族を優先する価値観など)
- ・ベトナム人は家族を非常に重視するため、家族の急な事情で休暇を取ることが多い。
- ・日本の企業文化では「仕事優先」が一般的だが、ベトナム人にとっては家族との時間を大切にすることが最優先される。
- ・企業側がこの価値観を理解しないと、職場での誤解が生じやすい。
◆日本語能力の個人差が大きい
- ・日本語能力試験(JLPT)のレベルによって、コミュニケーション能力に大きな差がある。
- ・技能実習生の外国人労働者は、基本的な日本語しか話せない場合が多く、業務指示が伝わりにくいことがある。
- ・企業側が簡潔でわかりやすい言葉を使い、研修やOJTを通じてサポートすることが大切。
◆給与や待遇への敏感さ
- ・ベトナムでは給与が生活水準に直結するため、待遇に対して非常に敏感。
- ・同じ業務をしているのに賃金に差があると不満を持つケースが多い。
- ・透明性のある給与体系を示し、昇給やキャリアアップの仕組みを明確にすることで、モチベーション向上につながる。
ベトナム人雇用を成功させるポイント
コミュニケーションと職場環境の改善
コミュニケーションの工夫
ベトナム人労働者が日本の職場で円滑に業務をこなすためには、適切なコミュニケーションが欠かせません。
シンプルで分かりやすい日本語の使用
ベトナム人の日本語能力には個人差があるため、難しい言葉や専門用語を避け、簡単で明瞭な表現を心掛けることが重要です。
特に、業務指示やルール説明は短く簡潔にし、ジェスチャーや図を活用することで理解を深められます。
地域文化の尊重
ベトナムは北部・中部・南部で文化や考え方に違いがあり、例えば北部の人は慎重で計画的、南部の人は柔軟でフレンドリーな傾向があります。
採用時に地域性を考慮し、個々の性格や価値観を理解することが大切です。
信頼構築の重要性
ベトナム人は家族や仲間を大切にする文化を持っており、上司や同僚との信頼関係が仕事のモチベーションに直結します。
日常的に声をかけたり、相談しやすい環境を整えたりすることで、長期的な定着につながります。
職場環境の整備
ベトナム人労働者が安心して働ける職場環境を整えることは、企業の生産性向上にもつながります。
ベトナム人同士のコミュニティ形成の支援
異国で働くベトナム人にとって、同国出身者とのつながりは精神的な支えになります。
社内でベトナム人向けの交流会を開いたり、既存のベトナム人社員が新しい人材をサポートする仕組みを作ると、安心感が増します。
文化的背景に配慮した職場作り
ベトナムの祝祭日(旧正月「テト」など)や家族行事を理解し、それらに配慮した勤務スケジュールを検討すると、従業員の満足度向上につながります。
また、宗教や食文化に合わせた対応(例:肉類を避ける人向けの食事配慮など)も視野に入れることをおすすめします。
安全教育やイベントの導入
言語の壁があるため、職場の安全対策を徹底することが必要です。
安全マニュアルをベトナム語で用意したり、定期的な研修を実施したりすることで、事故防止に貢献できます。
また、レクリエーションや社内イベントを開催し、日本人社員との交流の機会を増やすことも、定着率向上に役立ちます。
キャリア支援
日本語学習支援の充実
日本での生活や仕事をスムーズにするために、日本語学習の機会を提供することが重要です。
例えば、業務時間外に日本語クラスを開催したり、eラーニングの利用を推奨することで、日本語能力向上をサポートできます。
キャリアパスの提供
ベトナム人労働者は、スキルアップやキャリアの発展を重視する傾向があります。
明確な昇進制度や資格取得支援を用意することで、企業への定着率を高めることができます。
特定技能1号から2号への移行支援など、長期的な雇用プランを示すことも効果的です。
定期的なキャリア面談の実施
定期的に面談を行い、本人のキャリア志向や不安を把握することが大切です。
モチベーションを維持するために、フィードバックを積極的に行い、今後の成長に向けた支援を惜しまない姿勢を示すことが重要です。
まとめ
ベトナム人の性格や仕事観を理解し、適切なサポートを提供することで、企業にとっても労働者にとってもメリットのある雇用が実現できます。
文化的背景を理解し、長期的な関係を築くことが成功の鍵となります。
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