特定技能ビザの申請方法と必要書類を紹介!注意点やオンライン申請もわかりやすく解説
特定技能ビザは、日本の人手不足を補うため、即戦力となる外国人を受け入れる在留資格です。
取得には試験合格や雇用契約などの要件を満たす必要があり、手続きや書類準備には細かな対応が求められます。
今回は、申請の流れや必要書類、注意点をわかりやすく解説し、特定技能2号や支援機関の活用方法にも触れています。
ビザ取得を検討している方や企業の参考にしてください。
特定技能とはどんな在留資格?
特定技能とは、「人材不足を改善する為の在留資格」です。
日本で人手不足が深刻な分野において、外国人労働者を受け入れるために2019年に新設された在留資格です。
即戦力として働くことを目的とし、一定の技能や知識、日本語能力を持つ外国人が対象となります。
特定技能ビザ取得に必要な要件
外国人本人の要件
特定技能ビザを取得するには、外国人労働者が以下の要件を満たす必要があります。
外国人本人の要件については、「その分野の技能」「日本語能力」を証明することが重要になってきます。
- ・18歳以上であること
- ・健康であること
- ・技能試験及び、日本語能力を測る試験に合格していること
特定技能として働くには、各分野ごとの技能試験に合格する必要があります。
試験内容は、分野に関連した専門的な知識や実務スキルが問われます。
国や地域ごとに試験が実施され、日本国外でも受験可能な場合があります。
また、同じ分野の技能実習2号を修了した場合、特定技能1号の技能試験は免除されます。
日本語能力を測る試験は、「日本語能力試験(JLPT)」と「国際交流基金日本語基礎テスト」があります。
日本語能力試験(JLPT)では、「N4以上」が必要となります。
「N4」は日常会話ができるレベルで、読み書きや会話の基本的なスキルが必要になります。
また、技能実習2号を修了した場合、日本語能力試験は免除されます。
詳しくは、試験関係 | 出入国在留管理庁に掲載されております。
仕事や日常生活を送る上で必要な日本語能力を証明する必要があります。
また、介護分野のみの「介護日本語評価試験」という試験があります。
介護分野で働く外国人を対象に実施する試験で、介護の内容を中心に問題が出題されます。
介護業の特定技能ビザを取得する場合、日本語能力試験(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上)のほかに、
介護日本語評価試験の合格が必要となります。
受け入れ機関(所属機関)の要件
受け入れ機関の要件は「各分野共通」の要件と「分野別の上乗せ要件」があります。
受け入れ機関(所属機関)の要件 ~各分野共通~
- ・外国人と結ぶ雇用契約が適切である
- ・特定技能所属機関として適切である
- ・外国人への支援体制が整っている
- ・外国人を支援する計画が適切であること
1.特定技能雇用契約が適切であること
特定技能所属機関が特定技能外国人と雇用契約を交わす際、下記の基準を満たした雇用契約を締結する必要があります。
- ・分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
- ・所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
- ・報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
- ・一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
2.特定技能所属機関として適切 であること
受入れ機関自体が適正であるために要件がいくつかあり、主なものは次となります。
- ・労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
- ・1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
- ・1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
- ・欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
- ・保証金徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
- ・受入れ機関や違約金の契約をしていないこと
- ・報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
3.支援体制の確保
特定技能1号の場合、企業または登録支援機関が、労働者に対する生活や労働環境のサポートを提供する必要があり、
法務省既定の義務的支援10項目を行わなければなりません。ただし特定技能2号の場合は、支援体制は不要となります。
- ・事前ガイダンス
- ・出入国する際の送迎
- ・住居確保、生活に必要な契約支援
- ・生活オリエンテーション
- ・公的手続等への同行
- ・日本語学習の機会の提供
- ・相談、苦情への対応
- ・日本人との交流促進
- ・転職支援(人員整理等の場合)
- ・定期的な面談、行政機関への通報
4.外国人を支援する計画が適切であること
外国人を支援する計画が適切である必要もあります。
特定技能制度では外国人を支援するための計画を「支援計画書」として作成し、入管に提出しなければなりません。
その中身には以下の記載が必要です。
- ・支援の内容 → 出入国の際の送迎について、住居や口座・携帯の確保について、日本語学習について等
- ・登録支援機関に支援を全部委託する場合は、委託契約の内容等
- ・登録支援機関以外に委託する場合は、委託先や委託契約の内容
- ・支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職名
また、支援計画書は日本語と雇用する外国人が十分に理解できる言語で作成しなければなりません。
受け入れ機関(所属機関)の要件 ~分野別の要件~
【該当する分野の協議会に加入する】
分野ごとに、協議会に加入する必要があります。
例えば、介護分野であれば「介護分野における特定技能協議会」、農業分野であれば「農業特定技能協議会」と分野ごとに協議会があります。
以前は特定技能雇用後に加入でも問題ありませんでしたが、2024年6月以降どの分野でもビザの申請前に加入が必要となっているので注意が必要です。
【建設分野ではさらに国交省の受入計画認定申請が必要】
また、建設分野の場合は上記の協議会の加入に加えて、建設特定技能受入計画を作成し、
国土交通大臣に対しオンラインにて認定申請を行う必要があります。
特定技能外国人を採用するたびに、必ず国土交通大臣の認定を受けなければなりません。
特定技能ビザ取得の流れ
特定技能ビザを取得する流れは「国内在住の場合」と「海外在住の場合」の2つに区分されます。それぞれの流れを解説します。
外国人労働者が国内在住者の場合
国内在住の場合は主に「留学生」と「技能実習2号を良好に修了した外国人」に分けられます。
大まかな流れは次の通りです。
- 1.試験(技能・日本語)に合格 ※(技能については同分野の)技能実習2号を良好に修了した外国人は免除
- 2.求人募集に応募する
- 3.採用が決まり、受入れ機関と雇用契約の締結
- 4.在留資格変更許可申請 ※本人申請が原則
- 5.地方出入国在留管理局にて、
- ①審査
- ②在留資格変更許可
- ③在留カードの交付
- 6.受入れ機関での就労開始
外国人労働者が海外在住者の場合
海外在住の場合は主に「新規入国予定の外国人」と「技能実習2号を良好に修了した外国人」に分けられます。
大まかな流れは次の通りです。
- 1.試験(技能・日本語)に合格 ※(技能については同分野の)技能実習2号を良好に修了した外国人は免除
- 2.求人募集に応募する
- 3.採用が決まり、受入れ機関と雇用契約の締結
- 4.在留資格認定証明書交付申請 ※受入れ機関の職員等による代理申請
- 5.地方出入国在留管理局にて、
- ①審査
- ②在留資格認定証明書交付申請
- ③現地(送り出し機関等)に在留資格認定証明書を送付
- 6.査証申請
- 7.在外公館にて、①審査 ②査証発給
- 8.入国
- 9.受入れ期間での就労開始
特定技能2号について
特定技能2号は、特定技能1号の上位資格に位置付けられ、熟練した技能と経験を持つ外国人が就労できる在留資格です。
定技能1号と比べ2号では、在留期間に上限がなく、家族の帯同が可能となりますので、より長く日本で働くことができます。
在留期間や家族の帯同可否以外にも、特定技能1号と2号の違いについて詳しく解説しておりますので、そちらもチェックしてみてください。
特定技能ビザのオンライン申請について
特定技能ビザのオンライン申請は、日本政府が提供する「在留申請オンラインシステム」を通じて行われます。
このシステムにより、在留資格認定証明書の交付申請や在留期間更新許可申請、在留資格変更許可申請などがオンラインで手続きできます。
利用対象者について
オンライン申請は、特定技能ビザを取得または更新しようとする外国人労働者や、その受け入れ企業が対象です。
在留資格変更申請などは申請者自身が申請可能ですが、、通常は企業の担当者や登録支援機関が代理で手続きを行います。
オンライン申請のメリットとしては、 書類の郵送が不要になり、手続きのスピードが向上します。
必要な書類等について
①利用者登録
申請者(または担当者)がオンラインシステムの利用者登録を行う
②マイナンバーカード
申請にはマイナンバーカードや電子証明書を用意する
③必要書類の準備
申請に必要な書類を電子データとして用意する
手続きの流れ
①利用者登録:オンラインシステムに登録
②申請書作成:システム上で申請書を作成し、必要な情報を入力
③書類の添付:必要書類をアップロード
④申請の送信:全ての情報と書類を確認した後、申請を送信
⑤審査と通知:入国管理局が審査を行い、結果がオンラインで通知されます
注意点
オンライン申請でも、書類の不備や不足があると審査に時間がかかる可能性があります。
また、最初に利用登録するには時間がかかります。前もって利用登録を済ませておき、初めて利用する際には、
システムの使い方を事前に確認しておくとスムーズです。
オンライン申請の手続き等詳しい情報は「在留申請のオンライン手続 | 出入国在留管理庁」から確認することができます。

特定技能ビザ取得に必要な書類
特定技能ビザを取得するには時間がかかります。採用活動を始めてから実際に就労を開始するまで、どのルートでも3〜6ヶ月程度かかるケースが多いようです。
また、漏れやその他の不備(有効期限切れ等)があると不許可になってしまう恐れがあるので、きちんと用意することが大切です。
必要な書類は、外国人本人だけではなく企業側が用意するものがあります。
以下の内容で、必要な書類について解説します。
移行必要な書類
海外から人材を招へいする場合は「在留資格認定許可申請手続き」、
既に日本国内で別の在留資格で在留している方を採用する場合は「在留資格変更申請手続き」となります。
同じ特定技能で活動していても、転職等で所属機関が変更になる場合も在留資格変更申請手続き」が必要になります。
申請手続きに必要な書類は以下の通りです。
- ・在留審査の申請書
- ・写真
- ・申請人のパスポート及び在留カード 提示
- ・その他の書類についてはこちらのページの「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧・確認表」を参照
上の第1表・第2表・第3表については特定技能在留資格変更申請書提出時のチェックリストとして機能し、
提出が必要となる書類の一覧になります。
※(1)申請人に関する必要書類:「特定技能1号」に係る提出書類一覧表
(1)申請人に関する必要書類
申請する本人に関する書類になります。
在留審査の申請書や雇用契約書の写しのほか、日本国内で活動されている方の場合は課税・納税証明書などが記載されています。
未納や遅延がある場合、申請が通らない場合や誓約書の記載が求められる場合もあるので注意が必要です。
(2)所属機関に関する必要書類
採用する企業の必要書類になり、会社規模・種別によって用意する資料が異なります。
(3)分野に関する必要書類
特定技能の分野別の必要書類になります。
主に特定技能の各分野の技能条件を示す内容となり技能評価試験の合格証などが含まれます。
提出が必要な書類は以下の通りです。
- ・分野に関する技能や日本語能力試験の合格証明書の写し
- ・分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書
- ・協議会入会証:各分野の協議会が発行
- ・分野における業務を行わせる事業所の概要書
それぞれの産業分野別の詳しい必要書類は以下のPDFまたはExcelから確認することができます。
特定技能ビザの必要書類に関する注意点
特定技能の外国人労働者を雇用する際の書類提出の際に注意すべき点が3つあります。
それぞれ解説していきます。
申請書など正確な書類作成
申請書には申請者の個人情報や雇用先の詳細を正確に記入する必要があります。
誤りや不備があると、審査が遅延したり、申請が却下される可能性があります。
記入内容を十分に確認し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
雇用契約書の明確な作成
雇用契約書には、労働条件や報酬、勤務時間などが明確に記載する必要があります。
特に、労働基準法などの関連法令に準拠した内容であることを確認しましょう。
不明確な契約内容は、申請の際に問題となる可能性があるため慎重に進めましょう。
また、前文にも記載した通り「特定技能外国人(本人)が理解できる言語」で書類を作成しなければいけないので注意しましょう。
必要書類の期限と署名の確認
健康診断書や各種証明書など、提出書類には有効期限が設定されているものがあり、申請人本人の署名が必要な書類も多いです。
署名の有無や必要書類の期限(日付の記載)を確認しましょう。
在留資格の変更や更新など働く本人が日本に滞在している場合は、本人の署名が必須になりますので注意が必要です。
本人が海外に在中している場合は、代理人である受け入れ企業の担当者が署名を行うことが許可されています。
期限切れの書類や署名の欠如は、申請手続きに遅れがでる要因となりますので注意が必要です。
「特定技能」在留資格の申請における注意点
特定技能 在留資格の申請する際に、注意すべき点が4つあります。
費用がかかる
特定技能の書類の作成の費用は、外国人本人と企業が自社で手続きを全て行う場合には不要になりますが、
ビザ申請の代行を依頼したり、登録支援機関に支援計画の委託を行う場合には書類作成や手続き代行費用が必要となります。
特定技能ビザの更新申請に費用はかかりませんが、更新が許可され入管から新しい在留カードを受領する際に、
4000円(非課税)の手数料がかかります。
※2025/1/31日の閣議で、外国人の在留手続きに関する手数料を引き上げる改正入管難民法施行令を決定。
在留資格変更と在留期間更新に必要な手数料は4000円から6000円に上がる。
オンラインで申請する場合は5500円とし、窓口の混雑緩和を図る。
また、登録支援機関や行政書士へ委託する場合は、支援計画の作成から申請取次までの費用が発生します。
申請費用は外国人一人あたり15〜25万円程度かかるほか、更新申請等も依頼する場合は申請費用にプラスして費用がかかります。
申請人本人(外国人労働者)の署名が必要な書類もある
申請書類の中には、申請人本人の署名が必要なものがあります。
特に、在留資格認定証明書交付申請書や雇用契約書などの重要書類には、
申請人の自筆の署名が求められる場合がありますので、署名漏れがないよう注意が必要です。
申請の審査に時間がかかる
特定技能ビザの審査は、通常のビザに比べて時間がかかることがあります。
申請から結果が出るまでに数週間から数か月を要することがあるため、余裕を持って申請手続きを進めることが重要です。
申請に必要な書類や手続きが多い
特定技能ビザの申請には多くの書類が必要で、手続きも複雑です。
例えば、技能試験の合格証明書や日本語能力試験の合格証明書、雇用契約書、健康診断書などを用意しなければいけません。
各書類の内容を事前に確認し、不備がないように準備を進めましょう。
自社で対応が難しい場合は登録支援機関への委託を検討しましょう
外国人を採用する際に、ビザ申請や手続きなどが自社で対応が難しい場合は、登録支援機関への委託を検討しましょう。
その際、信頼性のある支援機関を選ぶことが重要です。
登録支援機関は、申請手続きだけでなく、特定技能外国人の生活面での支援や日本での労働環境への適応をサポートする役割も果たします。
適切な機関を利用することで、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることができ、結果的に企業側の負担も軽減することも期待できます。
支援機関の実績やサービス内容を事前に十分に確認することをおすすめします。
Stepjobのサポートとは?
初めて外国人を受け入れる企業様でも安心していただけるよう、人材紹介をはじめ、
ビザ申請サポートや生活支援(引っ越しサポート等)、助成金・補助金 自動システム、研修コンテンツ動画など様々なサポートをご用意しております。
また、Stepjobの採用方法は「人材紹介」「スカウト」「掲載」の3種類あり、企業様に合わせて採用方法を選ぶことができます。
外国人の採用を検討されている方や、お困りの方はぜひご相談ください。
まとめ
特定技能ビザは、日本の人手不足を補うための在留資格で、取得には技能試験や日本語試験の合格、雇用契約の締結、支援体制の確保が必要です。
申請には多くの書類と正確な記入が求められ、審査には時間がかかるため、余裕を持って準備することが重要です。
オンライン申請も可能で、対応が難しい場合は登録支援機関への委託を検討すると効果的です。
続きは複雑ですが、特定技能の外国人労働者を雇用することで、企業にとって人材不足の解消や事業拡大といった多くのメリットを得られるでしょう。
