
IT人材不足、若手人材不足に頭を悩ませる企業が増える中、近年「バングラデシュ人材」に注目が集まっています。高いIT能力、ビジネスレベルの英語力、そして強い親日性——これらを兼ね備えたバングラデシュ人材は、日本企業にとって大きな可能性を秘めた存在です。
この記事では、採用の実務に焦点を当て、在留資格の手続き・コスト・定着支援まで網羅的に解説します。バングラデシュ人の文化や国民性・マネジメント方法については、別記事「バングラデシュってどんな国?外国人採用を成功させる文化・特徴・マネジメント術」(https://stepjob.jp/post-14251/)で詳しく解説していますので、こちらでは採用の実務に焦点を当てます。
今バングラデシュ人材が注目される3つの理由
出入国在留管理庁の統計が示すように、日本在留のバングラデシュ人数は近年急増しています。特に「特定技能」の在留資格を持つバングラデシュ人の伸び率は他国を大きく上回っており、まだ競合が少ない「ブルーオーシャン市場」です。
また、IT人材の質の高さ、英語力の優位性、そして日本との友好的な関係など、この3点がバングラデシュ人材への注目を集める主な理由です。

※出入国在留管理庁のデータをもとに当社で作成
在留外国人数の推移と急成長の背景
出入国在留管理庁によると、日本在留のバングラデシュ人は直近5年間で急増しています。特に「特定技能」での在留者数は他のアジア諸国と比較しても高い伸び率を示しています。総数ではベトナム・フィリピン・ネパールに及ばないものの、その伸び率の高さは先行者優位のチャンスを意味します。「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザでの在留者数も着実に増加しており、ホワイトカラー・IT人材分野での存在感を高めています。

※出入国在留管理庁のデータをもとに当社で作成
他のアジア諸国と比較した採用競争度
| 比較軸 | ベトナム | フィリピン | ネパール | バングラデシュ |
|---|---|---|---|---|
| IT能力 | 中~高 | 中 | 中 | 高 |
| 英語力 | 低~中 | 高 | 中 | 高 |
| 在留者数 | 多 | 多 | 多 | 少(急増中) |
| 採用競争度 | 高 | 高 | 高 | 低(ブルーオーシャン) |
| 平均年齢 | 若い | 若い | 若い | 若い |
バングラデシュはIT能力と英語力において他国を上回る強みを持ちます。
一方、在留者数の少なさは「採用ルート構築に手間がかかる」面もあるため、この点は公平に認識しておく必要があります。
採用前に知っておきたいバングラデシュ人材の特徴
バングラデシュ人の性格・国民性・文化的背景・マネジメント方法の詳細については、別記事「バングラデシュってどんな国?」をご覧ください。ここでは採用判断に必要なポイントのみ簡潔にお伝えします。
・IT能力と理系スキルの高さ
バングラデシュ政府は長年にわたりIT教育に国家的投資を行っており、毎年多数のIT関連学科卒業生を輩出しています。システム開発・Webエンジニアリング・データサイエンス等の分野で即戦力となる人材が豊富です。
・英語力の高さ
バングラデシュは英語を公用語の一つとして教育に組み込んでいます。国際ビジネスレベルの英語対応が可能で、グローバル案件や海外クライアントとのやり取りを任せることができます。
・親日性と日本文化への適応力
日本のODA支援の歴史を背景に、バングラデシュ国民の日本への親近感は高く、「日本で働きたい」という動機が強い傾向があります。日本のビジネス文化への適応スピードも評価されています。
各ポイントの詳細・マネジメント上の具体的配慮については、ぜひ上記リンク先をご覧ください。
バングラデシュ人を採用する3つの主要ルート
バングラデシュ人材の採用ルートは、主に「①特定技能」「②技術・人文知識・国際業務(技人国)」「③留学生採用」の3つが主流です。自社の職種・規模・目的に応じて最適なルートを選ぶことが重要です。
ルート1:特定技能ビザでの採用
「特定技能」は2019年に創設された在留資格で、製造業・建設業・介護・外食等16分野が対象です。
技能試験と日本語試験(またはN4以上)の合格者、あるいは技能実習修了者が対象となります。※ただし、技能実習から育成就労へ変更になった場合は要件が変更になるので注意が必要です。
特定技能の特徴:
・転職可能(同一分野内)
・特定技能1号は家族帯同不可、2号は可
・在留期間:1号は通算5年、2号は更新可
また、特定技能1号と2号でも在留期間などの条件が異なります。詳しくは、特定技能1号と2号の違いとは?在留期間・取得方法など7つの違いで確認することができます。
ルート2:技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザでの採用
いわゆる「技人国」ビザは、IT・エンジニア・通訳・営業・企画等の専門職に適した在留資格です。
大学卒業以上または専門学校卒業+実務経験が条件となります。
バングラデシュ人IT人材の採用はこのルートが主流で、在留期間の更新・転職・家族帯同がすべて可能です。上記で解説したように、バングラデシュ人の技人国ビザ在留者数は堅調に増加しています。
技人国ビザの特徴:
・専門職・ホワイトカラー向け
・転職可能・家族帯同可能
・在留期間更新可能(事実上の長期就労が可能)
2026年4月15日(水)以降、技人国の要件変更がありました。詳しくは「在留資格「技人国」の要件変更とは?外国人採用企業が知っておくべき最新情報」で確認することができます。
ルート3:留学生からの採用(国内大学・専門学校卒)
日本の大学・専門学校で学ぶバングラデシュ人留学生は年々増加しています。
実際に出入国在留管理庁が出している数値でも、2023年 7,231人、2024年10,315(+3,084人)、2025年14,983(+4,668人)と増加しているのがわかります。
既に日本語能力・日本文化への理解を持ち、卒業後に技人国ビザへ変更して就職するケースが多くあります。言語・文化のハードルが低く、定着率が高い傾向にあるため、新卒採用の流れで採用できる点も大きなメリットです。
特定技能でバングラデシュ人を採用する手続きフロー
特定技能でのバングラデシュ人採用には、バングラデシュ固有の手続きが存在します。
他のアジア諸国とは異なる独自のプロセスがあるため、事前に全体像を把握しておくことが重要です。採用パターンは「海外から新たに呼び寄せる場合」と「国内から採用する場合」の2種類があります。
パターン1:海外から新たに呼び寄せる場合の手続き
1.駐日バングラデシュ大使館で要求書(Demand Letter)の認証取得
企業がバングラデシュ人材を海外から招聘する際、まず雇用条件を記載した「Demand Letter」を作成し、駐日バングラデシュ大使館で認証を受ける必要があります。
大使館に直接提出するほか、郵送又はウェブサイトを通じても行うことができます。また、申請から認証の交付まで、約3営業日かかり、費用は無料とのことです。
2.送り出し機関利用の場合はMEWOE(バングラデシュ海外雇用・移民省)の承認取得
送り出し機関を利用する場合はMEWOEの承認が必要ですが、利用しない場合はこのステップをスキップできます(バングラデシュは送り出し機関の利用が「任意」)。
3.雇用契約の締結
候補者と雇用条件について合意し、雇用契約を締結します。
4.在留資格認定証明書(COE)の交付申請
日本の出入国在留管理庁に対し、在留 資格認定証明書の申請を行います。
5.査証(ビザ)発給申請
COE取得後、候補者がバングラデシュの日本大使館・領事館でビザ申請を行います。
6.エミグレーション・クリアランス・カードの取得
バングラデシュ出国前に、候補者が政府機関からエミグレーション・クリアランス・カードを取得する必要があります(バングラデシュ独自の手続き)。申請から当該カード発行までは、約2営業日かかるとのことです。
出典: バングラデシュ国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続きの流れ
パターン2:日本国内から採用する場合の手続き
国内にいる留学生や他のビザ保持者を採用する場合は、バングラデシュ側の手続きが不要でシンプルです。
・雇用契約の締結
・在留資格変更許可申請(出入国在留管理庁へ申請)
これだけで完結するため、初めて外国人採用を行う企業にとっては国内からの採用がハードルが低く、おすすめです。
送り出し機関を使うべきか、直接採用すべきか
| 比較軸 | 送り出し機関 | 直接採用 |
|---|---|---|
| 費用 | 期間への費用発生 | 削減可能 |
| 候補者確保 | リスト提供あり | 自力でのネットワーク必要 |
| 手続きサポート | 現地手続き代行 | 自社対応が必要 |
| トラブル時 | サポートあり | 自社対応が必要 |
| リスク | 悪質業者に注意 | ネットワーク構築に時間かかる |
バングラデシュは送り出し機関の利用が「任意」です。
信頼できる機関を選ぶ際は、MEWOE認定の有無・実績・費用の透明性を必ず確認しましょう。
また、特定技能の場合は必ず義務的支援を行わなければ行けません。その実施を登録支援機関に委託することで、社内の工数を削減でき、専門的なサポートを受けることができます。

バングラデシュ人採用にかかる費用の目安
「外国人採用は費用がかかる」というイメージがありますが、費用項目を分解して理解すれば予算計画が立てやすくなります。
在留資格申請・更新にかかる費用
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 無料 |
| 在留資格変更・申請更新(印紙代) | 6,000円程度(種類による) ※オンラインの場合は5,500円 |
| 行政書士等への代行依頼 | 5万~15万円程度(相場) |
法定費用自体は低コストですが、書類作成に専門知識が必要なため、行政書士への依頼を検討する企業も多くあります。
義務的支援にかかる費用(特定技能の場合)
特定技能外国人を採用する場合、企業には「義務的支援」の実施が法定で義務づけられています。
主な支援項目は以下のとおりです。
・事前ガイダンス
・空港送迎
・住居の確保、支援
・生活オリエンテーション
・公的手続きへの同行
・日本語学習の機会提供
・相談、苦情対応
・日本人との交流促進
・転職支援(契約終了時)
・定期的な面談
これらを登録支援機関へ委託する場合の相場は月額2万〜5万円/人程度(機関により異なります)。
自社対応が難しい場合は、専門の登録支援機関への委託を検討しましょう。
登録支援機関の選び方がわからない場合は「登録支援機関とは?|失敗しない選び方5つの秘訣」をご参照ください。
給与・福利厚生(日本人と同等以上が原則)
特定技能・技人国ともに、給与は日本人と同等以上が法定要件です。
「安い労働力」として考えることは法令違反につながります。
バングラデシュ人IT人材の給与相場は、経験・職種により幅がありますが、日本のエンジニア市場相場に準じて設定することが求められます。
適正な待遇が定着率に直結します。
「コストダウン目的」ではなく「スキル・成長性への投資」として捉えることが、長期的な採用成功の鍵です。
人材紹介会社・登録支援機関への費用
・人材紹介会社(紹介手数料): 年収の20〜35%程度(成功報酬型)
・登録支援機関(義務的支援委託): 月額2万〜5万円/人程度
・送り出し機関(バングラデシュ側): 候補者負担が一般的だが、企業側が負担するケースもあり
初めての外国人採用では、手続きの複雑さとリスクを考慮し、専門機関の活用を強くおすすめします。
Stepjobでは、 バングラデシュ人材の紹介から在留資格申請サポート、採用後の定着支援まで一貫してサポートしています。初めての外国人採用でも安心してお任せいただけます。
採用後の定着支援で押さえるべきポイント
外国人採用の最大の課題は「採用より定着」です。
入社後のフォローが不十分な場合、早期離職につながるリスクが高まります。
文化的配慮の詳細については別記事をご参照いただくとして、ここでは定着のための制度設計と具体施策に焦点を当てます。
参考記事:バングラデシュどんな国?外国人採用を成功させる文化・特徴・マネジメント術
宗教的配慮を制度化する
バングラデシュ人の多くはイスラム教徒です。
個別の「特別対応」ではなく、就業規則や職場環境に組み込まれた制度として整備することが信頼関係構築の第一歩です。
・お祈り時間: 就業規則への明記と専用スペースの確保
・ラマダン期間: シフト配慮・業務負荷の調整
・食事の配慮: 社員食堂でのハラール対応、懇親会でのメニュー選択肢
「配慮する姿勢」そのものが、従業員のエンゲージメントと定着率を大きく左右します。
バングラデシュの特徴や宗教について「バングラデシュどんな国?」より詳しく確認することができます。
キャリアパスの明示と成長機会の提供
バングラデシュ人材は「成長・スキルアップ」を強く重視する傾向があります。「入社後どうなれるか」が見えない職場は離職リスクが高まります。
・1年後、3年後、5年後のキャリアパスを明確に提示
・技術研修、日本語教育、資格取得支援の提供
・定期的な1on1面談でキャリア希望をヒアリング
「放置」が最大の離職要因です。成長機会への投資は長期的な投資対効果につながります。
送金ニーズへの理解とサポート
バングラデシュ人の多くは、母国の家族への送金を重要な責務として捉えています。
企業側が必ずサポートしなければいけない内容ではないですが、送金するために昇格への給料アップすることができるのかを重視していることを理解しましょう。
・給与支払日と送金タイミングへの配慮
・送金手数料の安い方法の情報提供(企業からのサポートとして)
・「家族を養いたい」という動機を理解することが、モチベーション維持につながる
よくあるトラブル事例と予防策
トラブルは「準備不足」から起こることが多く、事前の理解と体制整備で防ぐことができます。
手続き上のトラブル(在留資格申請の不許可等)
主な不許可の理由: 書類不備、職務内容とビザ種別の不一致、給与水準の不足
予防策: 行政書士等の専門家を活用し、申請前に内容を徹底確認することが重要です。再申請の手間とコストを考えると、初回で確実に通す方が効率的です。
コミュニケーション上のトラブル
よくある問題1: 「できます」と言ったのに実際にはできない
→ 楽観的な国民性と「断れない」文化が背景にあります。タスクの難易度・所要時間を事前に丁寧に擦り合わせ、定期的な進捗確認を行いましょう。
よくある問題2: 時間感覚のズレ(遅刻等)
→ 入社直後に「日本の時間感覚」について具体的に説明し、余裕を持った行動を促すことが効果的です。またなぜ時間通りに行動することが大切なのかを伝えることが重要です。
時間についてのマナーを守ることの大切さがわかる研修動画があります。
【ビジネスマナー】日本の仕事 時間のルール!~特定技能~ | Stepjob
早期離職を防ぐための施策
主な離職理由: より良い待遇、成長機会の欠如、孤立感
| 施策 | ポイント |
|---|---|
| 採用時の期待値調整 | 仕事内容・給与・キャリアパスを明確に説明 |
| オンホールディングス充実 | 最初の3ヶ月が定着の分岐点 |
| 定期的なキャリア面談 | 不満を早期発見・対処 |
| コミュニティ形成 | 他のバングラデシュ人・外国人もしくは日本人社員との交流機会を設ける |
業種別の活躍事例
バングラデシュ人材は「IT業界」だけではなく、製造業・建設業・介護・外食・宿泊等でも幅広く活躍しています。
IT・エンジニアリング業界での活躍
システム開発・Web開発・アプリ開発・インフラ構築・データサイエンス・QAエンジニアなど、幅広いIT職種で即戦力として活躍できます。
採用成功企業の特徴:
・成長機会と技術スタックを明確に提示
・英語でのドキュメント作成・グローバル案件対応を評価
・柔軟な働き方(リモートワーク等)への対応
介護業・建設業などの特定技能採用
特定技能1号介護では2024年の約77人から2025年には223人へと急増しています。
あわせて建設業も、2024年の約77人から2025年には113人へと増加しています。
注意点: 安全教育の徹底と、ハラール対応など宗教的配慮が定着率向上につながります。
バングラデシュ人採用でよくある質問
Q.日本語ができないバングラデシュ人でも採用できますか?
A. 技人国ビザの場合、2026年4月15日(水)以降、技人国の要件変更に伴いカテゴリー3,4に概要する企業が採用する場合は、日本語能力N2レベルを取得していないとビザの申請が許可されない可能性があります。詳しくは「在留資格「技人国」の要件変更とは?外国人採用企業が知っておくべき最新情報」で確認することができます。
また、特定技能の場合はN4相当の日本語試験合格が必要ですが、留学生採用であれば既に日本語能力を持つ候補者が多くいます。
Q.イスラム教への配慮が難しそうですが、実際どの程度必要ですか?
A. お祈りスペースの確保・ラマダン期間のシフト配慮・食事の選択肢提供が主な配慮です。制度として整備すれば大きな負担にはなりません。「配慮する姿勢」自体が従業員の信頼と定着につながります。
他のアジア諸国と比べて採用の難易度はどうですか?
A. ベトナムやフィリピンに比べて採用競争が低く、良質な候補者を確保しやすい状況です。一方、採用ルートの構築にはまだ手間がかかる面もあります。先行して採用ノウハウを蓄積することで、今後の優位性につながります。
Q.送り出し機関は必ず使わないといけませんか?
A. いいえ。バングラデシュは送り出し機関の利用が「任意」です。国内在留の候補者を採用する場合は、送り出し機関を介さずに採用できます。
Q.採用後すぐに辞めてしまうリスクはありますか?
A. 採用時の期待値調整と入社後のオンボーディング充実で、早期離職リスクは大幅に低減できます。定期的なキャリア面談とキャリアパスの明示が特に有効です。
Q.家族を日本に呼ぶことはできますか?
A. 技人国ビザおよび特定技能2号の場合、家族帯同(配偶者・子)が可能です。特定技能1号の場合は家族帯同が認められていません。
Q.バングラデシュ人材の採用に補助金はありますか?
A. 特定技能外国人の採用・定着に関連する助成金・補助金制度が一部存在します(人材開発支援助成金等)。最新情報は厚生労働省や各都道府県の支援機関にご確認ください。
まとめ:バングラデシュ人材採用で成功するために
バングラデシュ人材の強みは「高いIT能力」「ビジネスレベルの英語力」「強い親日性と若い平均年齢」の3点です。そして何より、まだ採用競争が激しくない今こそが最大のチャンスです。
採用成功の鍵は、①正確な手続き理解と準備、②適正な待遇の提供、③採用後の定着支援の3点に集約されます。外国人採用を「リスク」ではなく「企業成長の機会」として前向きに捉え、早期に採用ノウハウを蓄積することが先行者優位につながります。
Stepjobでは、 バングラデシュ人材をはじめとする外国人採用のご相談を承っています。採用計画の立案から在留資格申請サポート、採用後の定着支援まで、外国人採用のプロフェッショナルがワンストップでサポートします。まずはお気軽にご相談ください。







