ミャンマー人の特徴を紹介!上手く付き合う方法や国の情勢を併せて解説します

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ミャンマー連邦共和国

東南アジアのインドシナ半島西武にあるミャンマー連邦共和国(通称ミャンマー)は、縦に長い国土で、日本の約2倍の大きさをもち、中国、インド、バングラデシュ、タイなどに囲まれています。 1948年、イギリスから独立し、1989年まではビルマ連邦という名称でした。 ミャンマーの現在の首都はネーピードーです。ミャンマーの首都はヤンゴンというイメージが強いかもしれませんが、移転しました。ただ、外資系企業や民間系企業の多くは未だにヤンゴンを拠点としており、国内最大都市として栄えています。

ミャンマーの情勢と今

2021年2月1日、国内で国軍によるクーデターが発生し、当時の国家顧問アウン・サン・スー・チー氏やウィン・ミン大統領、国民民主連盟の幹部などが国軍によって拘束されました。アウン・サン・スー・チー氏は非暴力民主化運動の元指導者で、2016年からミャンマーの政権を率いている事実上のミャンマー政府のトップでした。クーデター後、スー・チー氏は懲役と禁錮の判決を受けています。 クーデター以降、国内の政治や治安は非常に不安定になってしまいました。これまでは大統領を元首とする共和制国家でしたが、クーデター以降は国家行政評議会議長を国家指導者とする軍事政権に代わっています。これに対する抗議デモや武力衝突が度々起こり、それに対抗すべく、軍による民主派勢力への弾圧は激しさを増してきました。 諸外国からは経済制裁を受けており、国内経済は大きく停滞し、物価の急上昇で、もともと給与水準が低かったミャンマー国内には貧困層や失業者が増加しています。日本ではミャンマー情勢に対する報道が減っていますが、終息には遠く、現在も紛争が続いています。

人口

外務省の基礎情報によると、2019年時点でのミャンマーの人口は5,114万人。 以降の正確な人口は不明です。国軍によるクーデターの発生により、抗議デモや武力衝突による一般市民の死亡事案、弾圧による村の消滅などが起き、犠牲者が多数発生しているとみられます。また新型コロナウイルス感染拡大で医療崩壊を起こしており、これも大きな影響となっています。このような情勢から、国外に移住するミャンマー人が増えています。
参考:ミャンマー基礎データ|外務省

避難先として日本?日本で働くミャンマー人が急増中

2023年1月末に厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況によると、47,498人のミャンマー人が日本で就労しています。就労者数を国籍別にみると、一番多いのがベトナムで462,384人。これと比較するとまだまだ少ないですが、対前年増加率は37.7%で、インドネシアに次いで2番目に高い増加率となっています。 先ほどの解説通り、ミャンマー国内は失業者が増加しているため、国外で働くミャンマー人が増えていることが要因でしょう。また身の危険から日本に避難してくるミャンマー人も増えているようです。
ちなみにミャンマー人労働者のなかでは、在留資格「技能実習」が多くなっています。

ミャンマー人には緊急避難措置が適用されている

2021年5月28日以降、ミャンマーにおける情勢不安を理由に日本への在留を希望するミャンマー人については、緊急避難措置として在留や就労を認めています。2022年12月末までに9,527人に適用されました。
出典:令和4年における難民認定者数等について|出入国在留管理庁

ミャンマー人の特徴や性格は?

自己主張が少なく、温和で控えめ

温和で、人前で怒ることはほとんどありません。これはミャンマー人の9割が仏教徒であるため、徳を積むとよいことがあるという考え方を持っているからと思われます。また、怒りを表すことはよくないとされ、穏やかさが尊ばれています。 性格は素直でまじめな人が多く、言われたことを忠実に実行する傾向であるため、まじめで自己主張が少ないとされる日本人との相性も非常に良いといわれています。

家族を大切にする

多くのミャンマー人は家族を非常に大切にしています。親を敬う心が強く、これも仏教の影響と言われています。特に家族内での両親の立場はとても強く、就職先を決める際など、両親の意向で最終決定されることも多いようです。

叱られることに不慣れ

前述の通りミャンマー人は穏やかで怒ることが少ないため、怒られることに慣れていません。また、叱ることに関しても両親や教員以外は行いません。そのため、ミャンマー人は職場できつく叱られてしまうと叱られる想定がないため、ひどく傷ついてしまいます。間違いがあったときは優しく指摘し、フォローしてあげることでミャンマー人のモチベーションは保たれるでしょう。 また、これは多くの東南アジア諸国において言えることですが、ミャンマー人も人前で叱責を受けることに慣れていません。ミスを諭す際は話す場所に配慮が必要です。

寂しがり屋

家族に囲まれて育つミャンマー人は基本的には日本での一人暮らしや職場で孤立することなどを非常に寂しく感じます。特に来日したばかりだと日本在住のミャンマー人の友人がいないことが多く、職場や学校などに同じミャンマー人がいると安心します。ミャンマー人に限ったことではありませんが、声をかけたり相談にのってあげたりすることで安心感を与えてあげるとよいでしょう。 ミャンマー人を孤立させないことが、日本での定着へと繋がります。

挨拶の習慣がない

ミャンマー語にはもともと挨拶の言葉がありませんでした。そのため、ミャンマー人には挨拶をする習慣があまりないそうです。そのため、日本に来たばかりで不慣れなころはなかなか挨拶をすることが難しいかもしれません。しかし、それは悪気があるわけではありませんので、日本の挨拶の習慣を教えてあげると良いと思います。

親日派である

ミャンマーがイギリスの植民地であったころ、日本は、アウン・サン・スー・チー氏の父でありビルマ建国の英雄と呼ばれるアウンサン将軍に軍事訓練を施すなど、独立に大きく貢献したことの影響から、親日派と言われています。日本から毎年多額のODA(政府開発援助)を行っていることも親日派である理由の1つです。 さらに日本のアニメや漫画などはミャンマーで人気があり、これらの経緯から、ミャンマー人は日本に対して親しみや憧れの印象を持っています。

ミャンマーの教育事情

ミャンマーの教育事情を見てみます。ミャンマーでは主に、初等教育、中等教育、高等教育の3つの制度に分かれます。5歳から1年間幼稚園に通い、その後、小学校に5年間通います。義務教育は小学校の5年のみです。 さらに中等学校に4年間、高等学校に3年間、ここまで進むと13年間教育機関に通うことになります。その後は高等教育という、大学や大学院などがあります。

平等に教育を受けられる環境

2010年~2011年度に初等教育は無償化され、その後、中等教育前期は2013年~2014年度に、中等教育後期が2015年~2016年度に無償化されました。無償化にあたり、政府は制服1着・教科書・6冊の練習帳・12本の鉛筆分の代金を支給しています。 ミャンマーにおける初等学校の就学率は84.6%ですが、基本的には、貧富の差に影響されず教育を受けられる環境が整えられています。しかし2021年にクーデターが発生して以降、軍からは初等学校へ通うように通達が出ているものの、空爆や戦闘により教育の機会をなくした子供たちが増加しています。ヤンゴンやマンダレーなど大都市の学校は再開していますが、それ以外の地域との格差が発生してしまい、戦闘が続く地域では学校に通うことができません。この状況が続くと、ミャンマーの教育水準はいずれ低下していくものと思われます。

ミャンマー人へのNG行為

前述の通り、ミャンマー人は叱責されたり、怒られたりすることに慣れていません。そういった文化がないため、怒られることへのショックは非常に大きく、強く怒られると離職したり学校に来なくなったりしてしまう心配があります。 もし、業務や授業で誤ったことをしてしまった場合、他の人が周りにいない場所で、誤った事実を冷静に伝え、どうすればいいのかを一緒に考え、寄り添う姿勢で臨むと良いでしょう。

ミャンマー人の日本語習得

ミャンマー人は日本語を習得しやすいと言われています。これにはきちんとした理由があります。

構文が同じ並び

ミャンマー語は日本語と同じで「主語-目的語-動詞」の並びです。つまり日本語の単語を覚えてミャンマー語と同じように組み合わせていけば、日本語で会話ができるようになります。英語や中国語などは「主語-動詞-目的語」の並びのため、このようにはいきません。さらに、ミャンマー語の発音の構成数は日本語よりも多く、日本語と似ている音もあることから発音も流暢にできるようです。

ミャンマー国内に日本語を学習する人が多い

実はミャンマー国内には日本語を学習しているミャンマー人が多くいます。日本語能力試験の応募者数推移を見ると、2013年を境に増加。受験者数は60,000人を超えています。このように日本語の学習に意欲的なミャンマー人は多く、ミャンマー語と日本語に共通点があることから、来日の際に日本語能力があまり高くなかったとしても、学習することで上達しやすいと言われています。

最後に

ミャンマー人が置かれている状況から、日本におけるミャンマー人の在留者数は今後も増加していくことが予想されます。ミャンマー人は日本人と非常に相性がよく、また日本語の上達に関しても向上が見込まれ、今後、労働者としても留学生としても活躍が期待できるでしょう。 ただ、ミャンマー国内の状況は依然不透明です。現在は国内の治安が悪化していることから、日本へ避難した人、日本で働きミャンマー国内に残る家族を支えたいと考えている人、さまざまな方が日本で長く暮らしたいと考えているのは間違いないでしょう。 日本人とミャンマー人、互いに特徴や文化を理解し、一緒に安心して暮らせる環境ができることを切に願います。

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