特定技能1号の通算在留期間「5年ルール」はどう変わる?改正内容と対象分野について解説

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外国人採用の手段として、特定技能制度は年々重要性が高まっています。
これまで特定技能1号は通算5年が上限でしたが、近年の制度改正により、例外的に5年を超えて最大6年まで在留できるケースが生まれています。また、在留カード上の「在留期間」にはカウントされない期間の申立て制度も整備され、実務がより複雑になりました。

この記事では、特定技能の通算在留期間についてや、制度改正の背景・採用企業が理解すべきポイントを解説します。

特定技能の通算在留期間改正について

特定技能1号の在留期間は原則5年間ですが、制度改正により一部期間を通算から除外したり、最大6年間まで在留できる特例申立てが認められるようになりました。ここでは、その対象となるケースを詳しく説明します。
※下記内容は、通算在留期間 | 出入国在留管理庁 の内容を元に作成しています。

通算在留期間5年に含めない期間として申し立てるもの

特定技能の在留中に、本人の責めに帰さない事情で働けなくなった場合、一定の条件を満たせば、その期間を「通算在留期間5年」から除外できる制度があります。これにより、外国人が不利益を受けず、企業も継続的な雇用計画が立てやすくなります。

この申立てが認められるのは、以下のようなケースです。

再入国することができなかった1号特定技能外国人

自然災害、航空便のキャンセル、感染症流行など、本人の責任によらない事情で日本に再入国できない場合、その期間は5年の通算在留期間には含まれません。通算在留期間を希望する場合は、5年の通算在留期間が満了する前(概ね3か月前)に、下記書類を提出する必要があります。

在留資格「特定技能1号」の在留諸申請に係る提出書類
再入国出国期間に関する申立書(参考様式第1-28号)
・やむを得ない事情により再入国できなかったことを疎明する資料

当該期間中に、『在留資格認定証明書交付申請』『在留資格変更許可申請又は在留期間更新許可申請』をする必要があります。
また、提出書類から当該期間が確認でき、その在留を適当と認められたときに許可がされます。

産前産後休業・育児休業

特定技能外国人が日本で出産・子育てをするケースが増える中、産前産後休業・育児休業は在留期間に含まれない扱いが認められています。産前産後休業期間・育児休業期間中も、特定技能1号の在留資格は継続しますが、当該期間は5年の通算在留期間には含まれません。

通算在留期間を希望する場合は、5年の通算在留期間が満了する前(概ね3か月前)に、下記書類を提出する必要があります。

在留資格「特定技能1号」の在留諸申請に係る提出書類
休業期間に関する申立書(参考様式第1-30号)
・母子健康手帳の写し
・産前産後休業又は育児休業を取得したことを疎明する資料
・休業期間中のタイムカードの写し又は出勤簿の写し

また、産前産後休業期間に続いて育児休業期間に入る場合は、産前産後休業及び育児休業を取得したことを示す資料を添付し、在留諸申請をする必要があります。

病気・怪我による休業

長期間の入院や治療が必要となり、就労ができない期間も、通算在留から除外できます。

病気・怪我による休業期間とは、特定技能制度の適正な運用を図る観点から、病気・怪我による休業期間が原則1年以下(労災による病気・怪我に起因する休業の場合はその事情に鑑み、休業期間が3年以下)であり、1号特定技能外国人としての活動が行えない期間を指します。

通算在留期間を希望する場合は、5年の通算在留期間が満了する前(概ね3か月前)に、下記書類を提出する必要があります。

在留資格「特定技能1号」の在留諸申請に係る提出書類
休業期間に関する申立書(参考様式第1-30号)
・医師の診断書、病院から発行された治療・入院等の事実を証明する資料(治療期間や入院期間が記載されているもの)
・労災保険の支給決定通知書の写し(労災の場合に限る。)
・休業期間中のタイムカードの写し又は出勤簿の写し
・休業期間中の給与明細書の写し
・休業期間中の給与が振り込まれている口座の通帳(直近の預貯金額を記帳しているもの)の写し
・休業期間中の給与振込口座指定・同意書の写し

休業期間は、連続した1か月を超える期間である必要があります。例えば、体調不良等を理由として数日間自宅で療養する場合や、断続的な通院により業務が行えない場合は対象外となるので注意が必要です。

通算在留期間6年を上限として5年を超える在留に関して申し立てるもの

もう一つの重要な改正が「最大6年までの在留延長が認められる制度」です。
これは、特定技能2号への移行を目指す外国人に救済措置を与える制度で、特定技能2号の評価試験に不合格となった場合など、特定のケースで申立てが可能になります。

特定技能2号評価試験等に不合格となった1号特定技能外国人

本来、特定技能1号は最長5年で終了するため、その後も在留を続けるには2号への移行が必要です。
しかし、2号試験は難易度が高く、短期間で合格できないケースも珍しくありません。

そこで導入されたのが「最大6年までの在留延長申立て」です。
ただし、下記要件を満たしている方のみが対象となりますので注意が必要です。

① 試験の得点条件
「特定技能2号」への移行に必要な全ての試験について、合格基準点の8割以上の得点を取得していること。

② 本人の誓約
下記内容を外国人本人が次の内容を誓約すること。

・今後も2号試験の合格を目指して努力し、実際に受験する
・合格したら速やかに「特定技能2号」へ在留資格変更を申請する
・最終的に合格できなければ速やかに帰国する

③ 企業側の条件
下記内容を受け入れ企業が以下の両方を満たすこと。

・1号特定技能外国人を引き続き雇用する意思がある
・2号試験合格に向けた研修・指導・支援ができる体制を持っている

在留期間6年の通算在留期間の対象の分野

6年在留が特例的に認められるのは、すべての特定技能分野ではありません。
人手不足が著しく、特定技能2号移行の必要性が高い特定の分野に限定されています。

6年在留の対象となる例としては、下記分野が挙げられています。
※制度改正により変動あり

通算在留期間 | 出入国在留管理庁 より自社で作成

制度改正の背景と企業が理解すべきポイント

通算在留期間の見直しは、単に外国人に有利な制度変更ではなく、日本社会の人材不足を補い、技能人材を中長期で育成するための政策的判断です。

日本の労働人口は減少し続け、特に介護・製造・建設などの労働集約分野では慢性的な人材不足が深刻化しています。特定技能は、即戦力となる外国人材を確保する制度として期待されていましたが、5年の在留制限が大きな壁となっております。

今回の改正によって実現したことは、
・ライフイベントや事故など「不可抗力」による離脱が不利益にならない
・人材育成のための実務経験を長期で積ませられる
・2号移行に向けた教育を研修・指導・支援することで、定着率向上につながる
・外国人が将来設計を描きやすくなる

結果として、企業の採用計画が組みやすくなり、外国人材の定着率向上にもつながります。

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企業が押さえるべき実務ポイント

① 証明書類の管理
② 休業・不在の理由を明確化
③ 申立て期限の確認
④ 労働条件通知書・雇用契約書の整備
⑤ 外国人本人への説明責任

これらを適切に行うことで、申立てのスムーズな承認につながります。

特定技能の通算在留期間に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 産休・育休の期間は自動的に除外される?
→ 申立てが必要です。産前産後休業・育児休業のパートで紹介した書類が必要となります。

Q2. 試験不合格だけで延長できる?
→「2号移行の意思」が前提です。また合格基準点の8割以上の得点を取得していることが必要です。

Q3. 6年間働いた後は?
→ 特定技能2号の試験に合格したら、分野により2号へ移行可能となり在留カードの申請が必要となります。不合格だった場合は、速やかに帰国することになります。

まとめ

特定技能の通算在留期間制度は大きく変わり、企業にとっても外国人材にとってもメリットが増えました。制度を正しく理解し、適切に申立てを行うことで、安定した雇用計画が可能になります。

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