日本における介護保険制度と介護福祉士

日本における介護保険制度と介護福祉士

介護保険制度の成り立ち

古くから日本では「介護は家族で負担」という認識が一般的でした。
しかし、医療の発達により寿命が延びたことや、核家族化により、介護の担い手がいなくなったことなどの社会的な変化があり、介護が必要になったときに備える制度として、1997年に「介護保険法」が制定、2000年4月から施行されました。
保険料や税金という形で介護が必要な人も被介護者も互いに支え合える仕組みです。

介護保険制度とは

介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるしくみが介護保険制度です。
介護保険は介護が必要な方に、その費用を給付してくれる保険です。
保険ですから、皆で保険料を負担して、必要な方に給付する仕組みになっています。
どんな保険でもそうですが、給付を受けるには色々手続きをしなければなりませんし、審査もあります。
制度の運営主体(保険者)は、全国の市町村と東京23区(以下市区町村)で、保険料と税金で運営されています。
サービスを受けるには原則1割の自己負担が必要です。
ただし、前年度の所得に応じて、自己負担率が2割あるいは3割になりますし、日本の今後の財政状況により負担率も変化してくるのかもしれません。

介護福祉士とは

 介護福祉士とは、高齢者や体の不自由な人を対象とした「介護」と、「介護に関する指導」を行う専門職であり、国家資格です。
介護福祉士は主に病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、デイケアセンター、障害福祉サービス事業所などの社会福祉施設に勤務します。

介護福祉士とはどんな資格?

介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法(1987年5月26日制定、2007年12月5日改正)により定められた介護・福祉分野の国家資格です。
法律では、「介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと」と定義しています。
難しく書かれていますが、直接介護を行う介護職の、最上位の資格です。
その“直接介護”とは、単に食事や排せつ、入浴のお世話をするだけではありません。
利用者や家族に対して、自立支援に向けた介護技術など、具体的な指導・助言を行うところも、この国家資格の特徴です。
そのため、根拠に基づいた質の高い介護の実践を目指し、自ら知識や技術の向上に努めることが必要になります。
さらには、福祉サービスが総合的かつ適切に提供されるように、福祉サービス関係者などと連携することも重要とされます。
つまり、自らの知識や技術をもとに、利用者を取り巻く環境を整備していく力を求められるわけです。
これまでは、「介護の実務経験3年以上」という要件を満たしていれば、誰でも介護福祉士を受験できました。
しかし、平成28年度(29年1月の試験)から、専門学校等の2年の専門的教育課程を経ていない者に対しては、受験時には実務者研修の450時間の受講と修了が義務付けられています。
資格取得の難易度は、より高まったと言えますが、裏を返すと、資格の価値がさらに高まったということ。
多様化するニーズに対応するためには、介護福祉士たる者、だれもが認める確かな知識と技術を持つことが基礎になるというわけです。

介護福祉士の資格はどうやればもらえるの?

高い介護技術と知識を身に付けることができ、そのスキルを証明できる介護福祉士を受験するには、介護職員初任者研修の130時間を含めた450時間の研修を修了しているか、または2年の所定の専門的教育過程を経ていることが条件です。
その上で筆記試験と実技試験に合格して、初めて得られる国家資格です。
資格を取得する中で、専門的な知識や技術が身につけられます。
また、資格保有という形で、その専門性を証明できます。

「介護福祉士」のメリットは

給与や待遇がよくなる

国家資格を取得していることは、給与や待遇面でメリットがあります。
無資格者や介護職員初任者研修取得者と比べても給料がよく、資格手当などがつく場合が多いようです。

管理職になる道が開けやすい

例えばサービス提供責任者・リーダー・生活相談員など、事業所で配置が必要な役職については、介護福祉士などの有資格者でなければならないものもあります。
介護福祉士資格を持っていることで、雇い側が、「この人を将来管理職に」と想定することも多いようです。

より、誇りを持って仕事ができる

介護福祉士と名乗れるのは、介護福祉士の国家資格を取得した人だけです。
「名称独占」と言われる資格です。
しかし、医師や看護師、弁護士のように「この名称の人しかこの仕事ができない」という「業務独占」ではありません。
介護業界では初任者研修・ヘルパー2級などの資格で働く人や無資格で働く人もいます。
どんな資格でも、介護の仕事は大きく変わらないと思う人もいるでしょう。
しかし、介護福祉士の国家資格を持っていることが、介護のプロとして、職場や業界内外からも一目置かれることは事実です。また、名刺に「介護福祉士」と印刷して渡す人も多く、周囲からも「国家資格を持っている介護のプロ」として認められています。こうした経験を積み重ねることで、介護職としてより誇りを持つことができます。